今回は、歯科医院の税務調査で指摘されやすい「消費税」申告の注意点を紹介します。※本連載は、中央税務会計事務所の税理士・中島由雅氏と、株式会社アックスコンサルティングの代表取締役・広瀬元義氏の共著『これ1冊で安心 歯科医院経営のすべてがわかる本』(あさ出版)の中から一部を抜粋し、歯科医院の節税、税務調査対策について解説します。

消費税がかかる「課税仕入」の区分は正確か?

消費税の調査は、消費税の申告を本則課税で申告しているか、簡易課税で申告しているかによって異なります。

 

本則課税の場合:

自由診療の売上や歯ブラシ・歯磨き粉等の物販売上によって「預かった税額」から、治療のために薬品や材料などを仕入れた際の「支払った税額」を差し引いて計算しています。

 

このとき、人件費や保険料、減価償却費などの経費には消費税がかかりません。チェックされるのは、この「課税仕入」と「非課税仕入」を正確に区分できているかどうかです。非課税仕入であるのに、課税仕入として計算すると、納めるべき消費税額が少なくなるため、指摘されます。

厳しくチェックされる「自由診療」による売上

簡易課税の場合:

「預かった税額」から、「預かった税額×50%」の数字を差し引いた数字が、納税額となります。

 

このためチェックされるのは、課税売上の計算です。とくに自由診療による売上に関して、領収書や帳簿などを厳しく調べられます。

 

また、自動販売機の手数料、材料仕入れ業者からのリベート収入、廃棄金属の売却代金などの雑収入に計上漏れがないかなども調査されます。

 

もう1つ注意すべき点は、平成26年3月31日以前と、平成26年4月1日以降では、消費税率が異なることです。3月31日までの取引は5%に対して4月1日からは8%なので、平成26年3月末から4月はじめにかけて計上している項目については、いつの時点のものか指摘される可能性が高いです。正しく説明ができるようにしておきましょう。

本連載は、2015年7月1日刊行の書籍『これ1冊で安心 歯科医院経営のすべてがわかる本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

これ1冊で安心 歯科医院経営の すべてがわかる本

これ1冊で安心 歯科医院経営の すべてがわかる本

中島 由雅,広瀬 元義

あさ出版

新規開業の方法、アルバイトに高い売上を上げてもらう手立て、決算書の見方から、税務調査対策まで、歯科医院の経営を成功させるため実務に直結する具体的なアドバイスをお伝えします。 「コンビ二より激しい」といわれる歯科…

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