(※写真はイメージです/PIXTA)

「住みたい街ランキング」の常連といえる、東急東横線沿線。敷設100年を迎えた東急は、私鉄ビジネスだけでなく、街づくりにも大きくかかわってきました。今回は、東急株式会社常務執行役員の東浦亮典氏が、「代官山」「中目黒」の変遷と、街としての可能性について解説します。※本連載は、東浦亮典氏の著書『東急百年 私鉄ビジネスモデルのゲームチェンジ』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

代官山のランドマークとなった「代官山T-SITE」

「100年に1度の再開発」がまだまだ続く渋谷の街、鉄道ネットワークの拡大により変貌する街、コロナ禍によって再評価される街。東急沿線においても『私鉄3・0』を出版した以降の4年間で随分と様相が変わった街はあります。東急沿線の変貌する街を少しみてみましょう。

 

〈代官山〉

まず東横線沿線からみてみましょう。最初は渋谷の隣、「代官山駅」です。渋谷の再開発が駅の中心部から徐々に周辺部に移っていく中で、現在建設中の桜丘口地区の再開発に触発されて、その後背地でも再開発事業が検討されています。

 

また渋谷ストリームの開発によって、旧東横線高架橋が撤去されて、代官山方面に遊歩道ができたことから歩行者交通アクセスが改善し、心理的にも代官山が広域渋谷圏に取り込まれてきたような感じです。

 

もちろん代官山は渋谷とは一味違ったオトナのグルメ、ファッションの街で、ややスノッブな雰囲気ももっている個性的なエリアです。

 

当初は街のイメージを壊すのではないかと地元から懸念を抱かれたカルチャー・コンビニエンス・クラブの「代官山プロジェクト」も、2011年に「代官山T-SITE」としてオープンすると、その「新しい大人文化を提案する街」「都心でのライフスタイルの創造」というコンセプトが多くの人の支持を受け、いまではすっかり代官山の顔となっています。

 

個性的なショップの集積体から、幅広い人を集める「ディスティネーション」へ

私も学生時代から代官山には出没していましたが、どちらかというと小さな個性的なショップの集積体といった感じで、代官山に来街した人が必ず立ち寄るようなランドマークになる場所は、それほど多くありませんでした。

 

もちろん著名な建築家、槇文彦氏が設計を手掛けて1969年に旧山手通り沿いに建った「ヒルサイドテラス」は名建築で、代官山のイメージを決定づける役割を果たしましたし、いまでも古びることなく人を惹きつける力がありますが、多くの人が長時間滞留するようなタイプの施設ではありません。

 

その点代官山T-SITEは、本というものを媒介にして、幅広い人を集めて、滞留する代官山のディスティネーションになりました。

 

ここ数年でいくつかのビル・マンション開発が行われていますが、渋谷ほどの大規模再開発が行われるようなエリアではないので、全体的な雰囲気は保ったまま、またブランドイメージを維持しながら、ゆっくりと成熟の時を重ねていくことでしょう。

 

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※本連載は、東浦亮典氏の著書『東急百年 私鉄ビジネスモデルのゲームチェンジ』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

東急百年 私鉄ビジネスモデルのゲームチェンジ

東急百年 私鉄ビジネスモデルのゲームチェンジ

東浦 亮典

ワニブックス

東急電鉄に所属していた2018年に、前作『私鉄3.0』で「電車に乗らなくても儲かる私鉄の未来」を提言した東浦亮典氏。あれから4年、電鉄業界はコロナというこれまでにないパンデミックに見舞われた。テレワークの普及で働き方が…

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