サラリーマンの多くが知らずに損してる!? “65万円まで”なら「スーツ代」も「本代」も“節税”のネタになる「とっておきの方法」

サラリーマンの多くが知らずに損してる!? “65万円まで”なら「スーツ代」も「本代」も“節税”のネタになる「とっておきの方法」
(※画像はイメージです/PIXTA)

サラリーマンの方は納税がもっぱら「源泉徴収」と「年末調整」によって行われるので、節税の手段が限られています。しかし、実は、確定申告で税金を抑えることができる様々な制度があります。ただし、残念ながら税務署は教えてくれないので、知らずに損していることが往々にしてあります。本記事では、サラリーマンにとって有益で手続きも簡単なのに、知名度が低くイマイチ活用されていない「特定支出控除」について解説します。

サラリーマンも「経費」で落とせる「特定支出控除」

「特定支出控除」は、ざっくりいえば事業者の「必要経費」の「サラリーマン版」です。

 

サラリーマン(給与所得者)の「特定支出控除」は、「仕事」に関連して支出した経費について、その額が「給与所得控除額の2分の1」を超える場合に、給与所得の金額から控除できる「給与所得控除」の制度の一つです。

 

控除できるのは以下の7種類の経費です(所得税法57条の2第2項参照)。

 

【特定支出控除の対象となる経費】

1.通勤費

2.出張等の場合の「職務上の旅費」

3.転勤に伴う「転居費」

4.研修費

5.運転免許、簿記、弁護士、公認会計士、税理士などの「資格取得費」

6.単身赴任等の場合の「帰宅旅費」

7.図書費、衣服費、交際費等の「勤務必要経費」(65万円以内)

 

限度額は「7.図書費、衣服費、交際費等の『勤務必要経費』」が65万円以内であるほかは、設けられていません。1~6までは、要件をみたす限り控除が認められます。

 

ただし、これらのうち、重要なのは「5.運転免許、簿記、弁護士、公認会計士、税理士などの『資格取得費』」と「7.図書費、衣服費、交際費等の『勤務必要経費』(65万円以内)」の2つです。

 

他のものはあまり実益がありません。なぜなら、サラリーマンの場合、「1.通勤費」「2.出張等の場合の『職務上の旅費』」「3.転勤に伴う『転居費』」「4.研修費」「6.単身赴任等の場合の『帰宅旅費』」については、そもそも、勤務先が全額または一部を負担してくれるケースが多いからです。

 

したがって、以下、「資格取得費」と「勤務必要経費」について解説します。

資格取得費

「資格取得費」は、「職務の遂行に直接必要」といえれば特定支出控除の対象となります。

 

自動車運転免許、簿記等に加え、弁護士、公認会計士、税理士等の資格取得費も対象です。ここでは、特筆すべきポイントをピックアップして解説します。

 

◆受験料は「不合格」でもOK、「資格スクールの学費」もOK

受験料は、「職務の遂行に直接必要」なので当然対象となります。特筆すべきは、合否は問いません。試験に落ちてしまったとしても、特定支出控除の対象として認められます。

 

また、その他に、資格スクール等の授業料等も対象となります。なぜなら、難しい資格だと独学は現実的に無理であり、資格スクール等に頼らざるを得ないからです。

 

◆「法科大学院」はOK、「会計大学院」はNG

ややこしいのは、弁護士になるために通う「法科大学院(ロースクール)」と、公認会計士になるために通う「会計大学院(アカウンティングスクール)」の学費の扱いが異なることです。

 

まず、「法科大学院」の学費は特定支出控除の対象となります。なぜなら、弁護士になるための司法試験の受験資格は、原則として法科大学院を卒業しなければ認められず、その学費は「職務の遂行に直接必要」といえるからです。

 

これに対し、「会計大学院」の学費は特定支出控除の対象になりません。なぜなら、公認会計士試験を受験するには会計大学院を卒業する必要はなく、ただ、卒業すれば試験科目の一部が免除されるだけだからです。つまり、会計大学院の学費は「職務の遂行に直接必要」の要件をみたさないのです。

勤務必要経費

「7.図書費、衣服費、交際費等の『勤務必要経費』(65万円以内)」は、以下が対象となります。

 

【勤務必要経費にあたるもの】

・職務に関連する図書の購入

・勤務場所において着用することが必要とされる衣服の購入(スーツ、制服、作業服等)

・得意先・仕入先などの職務上関係のある相手に対する接待等

 

これらも、「職務の遂行に直接必要」だからということで認められます。ただし、65万円が上限です。

 

「スーツ、制服、作業服等」は、勤務先で着用が義務付けられている場合に、自費で購入すれば、「職務の遂行に直接必要」といえます。それらはプライベートでは無用の長物といわざるを得ないからです。

 

「接待等」については、通常は勤務先が費用を負担することが多いと想定されます。しかし、何らかの事情によって自己負担し、「職務の遂行に直接必要」だったといえれば、特定支出控除の対象となり得ます。

特定支出控除を受ける手続き

特定支出控除の適用を受けるには、確定申告書にその年の「特定支出」の額の合計額を記入し、以下の書類等を添付して、最寄りの税務署に提出する必要があります。

 

【特定支出控除の申告に必要な添付書類】

1.特定支出に関する明細書

2.勤務先による「給与所得の支払者の証明書」

3.源泉徴収票

4.支出の事実と金額を証明する領収書等の資料

 

このうち、「1.特定支出に関する明細書」は自分で作成し、「2.給与所得の支払者の証明書」については勤務先に依頼して書いてもらう必要があります。ただし、書式はいずれも国税庁のHPでダウンロードできます(特定支出に関する明細書給与所得の支払者の証明書)。

 

特定支出控除は、制度の存在自体があまり知られていないマイナーな制度ですが、サラリーマンにとってメリットが大きく、手続きも比較的容易です。

 

もしも要件をみたす支出があるならば、領収書をとっておき、ぜひ、活用することをおすすめします。

 

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