2|ガソリン補助金の効果と価格の推移
このガソリン補助金の効果によって、ガソリン価格は大きく抑制されてきた。既述の通り、昨年年初以降、ロシアによるウクライナ侵攻の影響等もあって世界的に原油価格が大きく上昇したうえ、円安によって円建て原油価格が押し上げられたため、円建て原油価格に連動するガソリン価格は本来大きく上昇するはずであった。実際、資源エネルギー庁の推計による補助金支給前のガソリン価格は昨年年初以降急上昇し、同年春から秋にかけては1リットル200円を上回っていた。
しかし、補助金が大規模に投入されたことで、ガソリン価格は基準価格に近い水準まで押し下げられてきた。とりわけ、昨年秋から直近にかけては、基準価格である168円程度での安定した推移が続いている(図表2、図表3)。
3|ガソリン補助金縮小・終了の内容と影響
ここで改めて今回公表された縮小方針の具体的な内容を確認すると、以下の通り、2階建ての構造となっている。
つまり、「ガソリン価格(補助前) と基準価格(168円)の差」について、①25円以下の部分については、2週ごとに補助率(5月までは100%)が10%分ずつ引き下げられるが、②ガソリン価格(補助前)が急騰して同差額が25円を超える場合に適用される補助率(5月までは50%)は2週ごとに5%分ずつ引き上げられる。
この変更の影響について、まず、今後(9月末まで)の円建て原油価格が横ばいで推移し、ガソリン価格(補助前)も横ばいで推移すると仮定して今後のガソリン価格(補助後)を試算した結果は【図表4】の通りとなる。
ガソリン価格(補助前)は不変だが、上記①の補助率が段階的に引き下げられることで、ガソリン価格(補助後)は2週間で1円強のペースで上昇し、次第に補助前の価格水準に近付いていくことになる。
次に、原油価格が上昇し、それに連動する形でガソリン価格(補助前)も上昇していく場合を想定すると、やや複雑になる(図表5)。
今後、毎週、円建て原油価格が直近価格の1%分ずつ上昇していくと想定した場合(1%上昇シナリオ)には、期間を通じて「ガソリン価格(補助前) と基準価格(168円)の差」が25円を下回るため、上記①の補助率引き下げの影響も加わって、補助前価格を上回るペースで上昇し、補助前の価格水準に近付いていく。この結果、9月末段階の価格(補助後)は1リットル190円台に乗せる計算になる。
一方、今後、毎週、円建て原油価格が直近価格の2%分ずつ上昇していくと想定した場合(2%上昇シナリオ)には、当初は1%上昇シナリオを上回るペースで上昇していくが、8月には「ガソリン価格(補助前) と基準価格(168円)の差」が25円を突破して、上記②の補助率引き上げ分が適用され、価格上昇が抑制される。この結果、9月末段階の価格(補助後)は1リットル190円強と1%上昇シナリオと殆ど変わらなくなる。
また、原油価格が下落し、それに連動する形でガソリン価格(補助前)も下落していく場合もやや複雑になる(図表6)。
今後、毎週、円建て原油価格が直近価格の1%分ずつ下落していくと想定した場合(1%下落シナリオ)には、期間を通じてガソリン価格(補助前) が基準価格(168円)を上回るため、上記①の補助率引き下げの影響がガソリン価格(補助前)下落の影響を上回り、ガソリン価格(補助後)は足元から緩やかに上昇、補助前の価格水準に近付いていく。この結果、9月末段階の価格(補助後)は1リットル170円強に留まる計算になる。
一方、今後、毎週、円建て原油価格が直近価格の2%分ずつ下落していくと想定した場合(2%下落シナリオ)には、当初はガソリン価格(補助前) が基準価格(168円)を上回るため、上記①の補助率引き下げの影響がガソリン価格(補助前)下落の影響を相殺し、ガソリン価格(補助後)は足元から横ばいで推移する。その後、ガソリン価格(補助前)が168円を下回ると、補助金の適用対象から外れるため、補助前の価格と一致する形で下落していく。この結果、9月末段階の価格は1リットル160円付近まで下がる形となる。