タッチパネルに触ると 「座標」 計算
駅の券売機、銀行のATM、カーナビ、そしてスマートフォンなど液晶画面にタッチする機会は日常生活の中で多々あります。いわゆるタッチパネルです。
タッチパネルのしくみは「画面のどこに指やタッチペンが触れたか」を認識するものですが、これは座標(X,Y)の認識方法に他なりません。
スマートフォンやカーナビなどに搭載されているタッチパネルには、「抵抗膜方式」と「静電容量方式」などがあります。
「抵抗膜方式」は二枚のフィルムからできており、指やペンで押したときの電圧を読み取ることで座標がわかるしくみです。しかし、この方式はマルチタッチ(二本以上の指でタッチすること)には不向きです。
マルチタッチを実現しているスマートフォンで用いられているのが「静電容量方式」です。
人体は電気を流す性質をもっています。冬にドアノブを触るとピリッと痛い思いをするのは、摩擦で生じた静電気が人体を流れるからです。
これを小さくしたのが静電容量方式です。指でタッチパネルを触ると、非常に小さい電流が流れ、タッチパネルに電気(電荷)が溜まります。
この電気の量(静電容量)をどのように検出するかですが、次の方式があります。
「表面型静電容量方式」は、画面の四隅での静電容量の変化を捉えることで、「X座標」 「Y座標」が計算されます。
「投影型静電容量方式」は、「X軸方向」と「Y軸方向」に何本も静電容量センサーを配置することで、「どこで静電容量が変化したか」を突き止めることができます。といっても、「同時に動く二本の指の座標を的確に確定すること」は容易なことではなく、非常に繊細な技術と複雑な過程を経てようやく実現しています。
どれだけ難しい技術なのかを少しだけ説明してみましょう。
この技術は、 「X軸方向」と「Y軸方向」でそれぞれ別々に位置を検出し、その両方を組み合わせて座標を求めています。
そのときに、複数点を同時検出しようとすると、 「X軸方向」と「Y軸方向」の組み合わせ方が判別できない「ゴースト・ポイント」という誤った座標を求めてしまうことになります。
例えば、二本の指が二点(X1,Y1)(X2,Y2)に触れたとします。まず、センサー線X1、センサー線X2、センサー線Y1、センサー線Y2が静電容量の変化をキャッチします。すると、この二点は(X1,Y1)(X2,Y2)という組み合わせなのか、(X1,Y2)(X2,Y1)という組み合わせなのかがわからなくなる、ということです。