年齢を秒数で考えると
「今年、お幾つですか?」と聞かれて単位を「秒」で答える人はいません。
ほとんどの人が「年(○○歳)」で答えます。それがわかりやすいからです。秒で年齢を答えられてもピンときません。
私たちは毎日、一秒、一秒という時を刻みながら生きています。過ぎ去った時間に想いを馳せるために、生まれてから今日まで何秒生きてきたかを考えてみましょう。
一日は二十四時間、一時間は六十分、そして一分は六十秒です。一日の秒数は二十四(時間)×六十(分)×六十(秒)=八万六千四百(秒/日)となります。
さらに一年は三百六十五日なので、八万六千四百(秒/日)×三百六十五(日)=三千百五十三万六千(秒/年)と計算できます。
この計算をもとに、生きてきた時間の長さを秒で表してみましょう。もちろん正確な計算は「うるう年」や「一カ月が三十日か三十一日か」を考えなければなりませんが、ここでは「一年は三百六十五日」「一カ月は三十日」と簡略化して計算します。
一億秒は何歳?
例えば、三歳の子は何秒生きてきたのでしょうか。
三千百五十三万六千(秒/年)×三(年)=九千四百六十万八千(秒)となります。ほぼ一億秒です。
子どもの頃、お風呂の中で数える十秒はとても長く感じたことでしょう。それに比べると、一億秒は気の遠くなるような時間です。たった三歳でも、秒に直すとこんなに生きているのですね。
それでは、ちょうど一億秒の時はいつになるか計算してみましょう。
一億(秒)÷八万六千四百(秒/日)=千百五十七・四…(日)となることから、千百五十七日から千百五十八日へと日付が変わる間に一億秒を超えるということです。
千百五十七日は、三百六十五(日)×三(年)+三十(日)×二(カ月)+二(日)ですから、およそ「三歳二カ月と二日」となります。もし小さいお子さんがいらっしゃれば、この日に「誕生後一億秒記念パーティ」を開くのも面白いかもしれません。
さまざまな年齢を秒数変換
こうして計算していくと、小学校を卒業するまでの十二年間は、三億七千八百四十三万二千秒、成人式を迎える二十歳では六億三千七十二万秒となります(※注:二〇二二年四月一日に成年が二十歳から十八歳に引き下げられたため、現在、成人式は二十歳で行う自治体と十八歳で行う自治体がある)。
六十歳の還暦では十八億九千二百十六万秒、七十七歳の喜寿では二十四億二千八百二十七万二千秒、百歳では三十一億五千三百六十万秒と、とてつもなく大きな数になっていきます。
ちなみに、十億秒をカウントするのは三十一歳八カ月十九日、二十億秒をカウントするのは六十三歳五カ月三日、三十億秒をカウントするのは九十五歳一カ月十七日となります。
ぜひ皆さんも「自分は何秒生きたか」を計算してみてください。なんでもない日が、実は何億秒かの記念日になっているかもしれません。
同じ時間の長さでも、年でとらえるか、秒でとらえるかで感じ方が全く違うと思いませんか。時には、時間の大切さを秒でかみしめてみてはいかがでしょうか。
桜井 進
株式会社sakurAi Science Factory 代表取締役