(※写真はイメージです/PIXTA)

近年「ESG」をテーマにした投資商品が世界的に増えており、運用資産残高は4,900兆円にのぼります。こうしたなか、ESGを「点数稼ぎ的な要素」として捉える企業もいると、鎌倉投信の代表取締役社長である鎌田恭幸氏はいいます。「ESG投資」は“王道”となるか、それとも“一過性のブーム”で終わってしまうのか……詳しくみていきましょう。

「ESG」の「G」を体現する経営者の“姿勢”

翻って、「本来、会社が果たすべき社会的責任は何か」を考えるとき、究極的には次の2つだと筆者は考えます。

 

第1に、価値あるモノやサービスを供給することによって社会に貢献すること

第2に、会社の活動を通じて、人と人、人と社会を結び付けることによって個人の成長と、社会への貢献につなげる機会を提供すること

 

です。そして、ESG投資の本質とは、会社が、この2つの責任に向き合うきっかけを与えることに他ならないと考えます。

 

それと同時に、会社の社会的評価は、同じ物差しの横並びで測られるものではなく、むしろ一律に測れない違いのなかにこそ各社の思想信条が現れ、その違いが会社の個性となり差別化の源泉につながる、と考えています。

 

会社においても個人においても、個性の基礎をなすものは、自らが大切にする価値観や世界観でしょう。「いかにありたいか」を自らに問い、組織および個人の活動を通じて「何を実現するか」という目的達成への自覚でしょう。

 

このように考えたとき、会社が社会的責任を果たす上で本質的に大切なことは、ジェンダー、年齢、国籍、ハンデキャップといった概念を表面的に解消することではなく、組織に集うあらゆる個性の調和の度合いであり、その個性を組織行動として方向づけ、導いてゆくことのできるよき企業風土の醸成にあると考えます。

 

そして、そのことに最も強い影響を与えるものは、何よりも社内で繰り返される言葉、すなわち経営理念ではないでしょうか。

 

つまり、経営理念に向き合う経営者の誠実さが、個性の求心力の中心であり、ESGのG(Governance:企業統治)の根幹をなすと思うのです。ESG投資が単なる投資テーマに終わらないことを期待します。

 

 

鎌田 恭幸

鎌倉投信株式会社

代表取締役社長

 

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