大谷翔平選手がホームラン⇒日経平均株価「上昇」!? 景気先読みに役立つ“身近なデータ”

景気の予告信号灯としての身近なデータ(2023年5月28日)

大谷翔平選手がホームラン⇒日経平均株価「上昇」!? 景気先読みに役立つ“身近なデータ”
(※画像はイメージです/PIXTA)

多くの国民が注目する「身近なデータ」が、実は景気や株価と深い関係にあることをご存じでしょうか? 今回は「スポーツ」を取り上げ、“景気の予告信号灯”として読み解いていきましょう。※本記事は、宅森昭吉氏(景気探検家・エコノミスト) の『note』を転載したものです。

大谷翔平選手のホームランと日経平均株価との関係

~WBC・MVPで一段と注目が高まった大谷翔平選手

 

侍ジャパンが14年ぶり三度目の優勝を果たしたWBCは、テレビ視聴率が軒並み40%台となり、大いに盛り上がりました。優勝を決めた米国との決勝戦のビデオリサーチ・関東地区の視聴率は42.4%で、午前中に決勝戦が行われた3月22日の日経平均株価の終値は、前日に比べ520円94銭高と大幅に上昇しました。

 

レギュラーシーズンに入っても侍ジャパンメンバーの活躍が日々大きく報道され、野球熱が高い状況が続いています。侍ジャパンメンバーの中でもMVPを受賞した大谷翔平選手の報道は昨年よりも多くなったような感じがします。また、化粧品メーカー・コーセーの「コスメデコルテ」シリーズの美容液をはじめ、大谷選手を起用したCMを目にする機会が非常に多いように感じます。

 

最近では、エンゼルスの同僚パトリック・サンドバル選手がインスタグラムに投稿した大谷選手が手にしていたスナック菓子の写真が大きく取り上げらました。スナック菓子は「ファニオン」という人気のオニオンリング型のコーン菓子で、写真がたちまちネットに拡散され大きな話題になりました。かつて日本で販売されていましたが、現在は販売されていないことや、輸入品しかないのでそのルートがある販売店でしか買えないことなども話題になりました。大谷翔平選手の一挙手一投足が注目されています。

 

そうした中、今年は大谷選手がホームランを打つと、日経平均株価が上昇しやすい傾向が鮮明です。

 

~大谷選手に一段と注目が集まっている今年は、12号ホームランまでで「株価上昇」が圧倒的に多い

 

一昨年、昨年と大谷選手のホームランと日経平均株価との間に明確な関係はみられませんでした。2021年では、ホームランを打った日に日経平均株価が上昇したのが10回、下落したのが19回、休場(土休日)は14回でした。2022年では、上昇9回、下落8回、休場11回でした。

 

しかし、大谷選手に一段と注目が集まっている影響か、今年は、12号ホームランまでで、上昇10回、下落1回、休場1回で、大谷選手のホームランの明るい話題が、株価上昇に結び付いているように感じます。

 

[図表1] 2021年・2022年・2023年シーズン:エンゼルス・大谷翔平のHRと日経平均株価・前日差

大相撲の「復活優勝」と「景気」の関係

~大相撲夏場所の懸賞は2場所ぶりの「前年同場所比増加」

 

5月28日に千秋楽を迎えた令和5年大相撲夏場所。千秋楽1日分の懸賞は190本で、過去最多だった令和元年夏場所の178本を更新しました。また、結びの一番の横綱・照ノ富士と大関・貴景勝の取り組みに60本の懸賞が掛かりました。過去最高は61本で平成27年初場所など5回、60本は6位タイで今回を含め4回です。

 

大相撲初場所の懸賞本数は1,817本、前年同場所比+8.4%と10場所連続で増加となりました。コロナ禍で最高水準を更新し、コロナの影響がほぼなかった令和2年の初場所の1,835本にかなり近い数字で、企業の業績・広告費の底堅さが感じられる数字と言えました。しかし、3月に大阪で開催された春場所は1,404本にとどまり、前年同場所比▲6.0%と11場所ぶりの減少でした。

 

5月の月例経済報告で、政府の景気判断が、個人消費の持ち直しなどから「緩やかに回復している」に、4月の「一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している」から、10ヵ月ぶりに引き上げられました。景気判断が上向く中、5月の大相撲夏場所・全体懸賞本数は1,789本で前年同場所比+10.1%と2場所ぶりの増加に転じました。

 

[図表2]最近の大相撲本場所懸賞本数推移

 

~横綱・照ノ富士が史上三度目の「3場所全休後の優勝」。過去2回はその後2年間ほど景気拡張局面が続いた

 

夏場所では膝の手術で3場所全休した横綱・照ノ富士が1年ぶり八度目の復活優勝を果たしました。今回の優勝は史上三度目となる3場所連休の後の優勝、過去2回は昭和43年秋場所の横綱・大鵬の優勝と平成元年初場所の横綱・北勝海の優勝です。苦労して達成した復活優勝は、人々の気持ちを元気づけるのでしょう。前者は昭和45年7月の山まで1年10ヵ月間、後者は平成3年2月の山まで2年1ヵ月間と、その後2年間程度、景気拡張局面が続いています。三度目の今回も同様な動きが期待されます。

 

※本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。

 

宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)

三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。 さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。 23年4月からフリー。景気探検家として活動。 現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。

 

 

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