日経平均株価〈約33年ぶりの高値〉更新は「ジンクス通りの展開」…景気先読みに役立つ“身近なデータ”

景気の予告信号灯としての身近なデータ(2023年5月22日)

日経平均株価〈約33年ぶりの高値〉更新は「ジンクス通りの展開」…景気先読みに役立つ“身近なデータ”
(※画像はイメージです/PIXTA)

多くの国民が注目する「身近なデータ」が、実は景気や株価と深い関係にあることをご存じでしょうか? 今回は最近話題の映画やニュースを取り上げ、“景気の予告信号灯”として読み解いていきましょう。※本記事は、宅森昭吉氏(景気探検家・エコノミスト) の『note』を転載したものです。

4月「景気ウォッチャー調査」からわかる足元の景況感の持ち直し

~コロナ、物価高の悪影響薄まる

 

4月「景気ウォッチャー調査」では、景気の方向性を判断する現状判断DIは3ヵ月連続の上昇で54.6になりました。3ヵ月連続で景気判断の分岐点の50超です。先行き判断DIは5ヵ月連続の上昇です。現状水準判断DIは3月の50.0に続き4月は50.5と2ヵ月連続で景気判断の分岐点の50以上となりました。17年11月・12月以来5年4ヵ月ぶりのことです。足元の景況感がだいぶ持ち直していることがわかります。

 

新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5月8日から「5類」に移行することなどで、個人消費に弾みが付くことへの期待などが、プラス要因です。243人がコメントした「新型コロナウイルス」関連現状判断DIは62.7と初の3ヵ月連続60台で、景気を牽引するかたちです(図表1)。「第9波」関連先行き判断DIは57.5と50超です。様々な意見があるものの10人の回答者の平均的意見は景気のマイナス要因にはならないというものです。

 

[図表1]新型コロナウイルス関連判断DIの推移

 

1月調査で30台と景況判断の悪材料だった「価格or物価」関連DIは4月調査で、182人がコメントした現状判断は49.9、297人がコメントした先行き判断は47.0と景気判断の分岐点の50に近い水準まで改善しています。また41人がコメントした4月の「賃上げ」先行き判断DIは54.3と50超です。

キーワードは「諦めない心」

~映画版マリオのヒット、SANADA選手の初戴冠に共通するもの

 

4月28日公開の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が5月14日まで3週連続週末第1位となりました。5月21日までの週末(金・土・日)3日間では第2位に下がりましたが、動員50.5万人、興行収入は7.4億円でした。24日間の累計成績は動員643万人、興行収入91.4億円で、早くも興行収入ランキング・歴代63位に上がってきました(図表2)。

 

[図表2]映画興行収入ランキング

 

マリオのゲームを何度もミスしながらクリアしてきた観客が多いと思われ、諦めず何度も立ち上がるヒーローのマリオから、改めて勇気をもらったことでしょう。

 

かつて柄本佑さんがラジオ番組で語った、小学生の頃に母親の女優・角替和枝さんから「あんたはマリオやゼルダから何を学んだんだ! 諦めない心だろ!」と叱られたエピソードが、再び話題になりました。

 

「諦めない心」は現時点のキーワードのひとつだと思われます。新日本プロレスでは、SANADA選手が4月8日両国国技館大会でオカダ・カズチカ選手を破り、第7代IWGP世界ヘビー級王者になりました(図表3)。悲願の王座を初戴冠し、5月3日福岡大会では高橋ヒロム選手に勝利し初防衛に成功しました。第6代王者オカダ・カズチカ選手は第4代王者でもあり、前身のIWGPヘビー級王座にも5度つき、両者併せて36回防衛を記録、新日本プロレスを牽引してきたエースです。

 

[図表3]歴代IWGP世界ヘビー級王者

 

SANADA選手は、初戴冠直後の会見で「自分は2005年に新日本プロレスの入門テストを受けて、そこで落ちて、そのあと他団体でデビューして、海外行ったり、2016年にまたここ新日本のリングに上がって、そこから7年経って、やっと団体の象徴のベルトを巻くことができました。すごい長かったんですけども、『諦めなければ夢は叶うんだな』っていうのを伝えれたかなと思っております」と発言し、話題になりました。

自殺者数のデータからも感じる「景気持ち直しの動き」

~23年3月に11ヵ月ぶりの「減少」に転じ、4月暫定値も2ヵ月連続減少

 

景気動向や雇用動向の影響も受ける、自殺者数の前年同月比は23年に入っても1月+7.5%、2月+8.0%と増加傾向にありましたが、3月は▲3.6%と11ヵ月ぶりの減少に転じました(図表4)。そして、4月暫定値は▲1.0%と2ヵ月連続減少になりました。自殺のデータからも、景気持ち直しの動きが感じられます。

 

[図表4]警察庁:月次の自殺者数

ここまでの日経平均株価は“干支のジンクス”通りの展開

~「卯は“跳ねる”」のジンクス通り、5月22日に「33年ぶりの高値」を更新

 

5月22日の日経平均株価終値は、バブル後最高値を更新し、31,086円82銭を記録しました。1990年7月26日以来およそ33年ぶりの高値です。

 

これまでは「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌は笑い、亥固まる、子は繁栄、丑はつまずき、寅千里を走り、卯は跳ねる。」の干支のジンクス通り(図表5)、これまでのところ卯年の平均上昇率+16.4%を上回り、昨年末からの上昇率は+19.1%になりました。ここまでは「卯は跳ねる」という干支のジンクス通りの展開になっています。

 

[図表5]十二支と日経平均株価・前年比・平均

 

※本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。

 

宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)

三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。 さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。 23年4月からフリー。景気探検家として活動。 現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。

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