「介護保険」のキホン
……A.高齢者介護を「みんなで」進めるためのもの
介護保険の開始は2000年のこと。それまでの「介護は家族が担う」「病気になった高齢者は長期入院」という“常識”を改め、国は「介護は在宅が基本だが、介護の担い手は地域全体」「必要に応じて施設入居」という方向に舵(かじ)を切ったのです。
介護保険の保険者は、全国の市区町村です。地域の高齢者の人数や状況、今後の高齢化率などを考えて介護サービスの種類や内容を決めています。
介護保険にかかる費用は40歳以上の人が支払う介護保険料と税金が主体となり、利用する場合にはその費用の一部(1~3割)を負担することになります。支給限度額には上限があって、その範囲を超えると全額自費での支払いになるので注意が必要です。
介護保険で受けられる代表的なサービス例
1.施設に通う
<施設で運動や入浴>
■デイサービス(通所介護)
車での送迎つきで、食事や入浴などの生活支援や機能訓練などが受けられる。基本は日帰り。昼食代やレクリエーション代は実費を支払う。
<施設で機能回復>
■デイケア(通所リハビリ)
病院や診療所、介護老人保健施設などの医療機関で受けられる通所型のリハビリ。医師の指示がないと利用できない。
2.複合サービス
■小規模多機能型居宅介護
デイサービス、訪問介護、ショートステイが1つの事業所で利用できる。利用料は月額定額制。
3.介護計画作成
<ケアマネジャーに相談>
■居宅介護支援
要介護度に応じて受けられるサービスを検討し、ケアプランと呼ばれる介護計画書を作成してもらう。
4.自宅の環境改善
<気軽にレンタル>
■福祉用具貸与
介護ベッドや車いす、手すりなど、介護に必要な福祉用具を1~3割の価格でレンタルできる。トイレや入浴用品は購入対象。
<20万円まで利用可能>
■住宅改修
段差の手すりのとりつけなどの住宅改修に最大18万円(工事費用20万円の9割まで)補助が出る。事前に市区町村に計画書の提出が必要。
5.自宅に訪問
<身体介護生活援助>
■訪問介護(ホームヘルプ)
自宅での自立した生活を支援するために、ホームヘルパーが料理や洗濯などの生活援助やさまざまな動作のサポート(身体介護)をする。
<自宅で医療的ケア>
■訪問看護
主治医の指示に基づいて医療的なケアを行う。病院のほかに、訪問看護ステーションと契約することが多い。
<機能回復訓練>
■訪問リハビリ
理学療法士(基本的な身体動作)、作業療法士(生活動作)、言語聴覚士(会話や食事)などが自宅でリハビリを行う。
6.施設で生活
■特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
■老健(介護老人保健施設)
■介護医療院
介護保険で入居できるのは上の3つ。ほかに介護保険のケアがつく「特定施設」(介護つき有料老人ホームなど)、認知症向けのグループホームなどがある。
7.短期宿泊
<30日間まで滞在>
■ショートステイ(短期入所生活介護)
利用者の心身の状態が悪いとき、介護者の病気や仕事の出張などのときに、短期間(最長で30日)施設に入居できる。食費と住居費は自己負担になる。
上大岡 トメ
イラストレーター
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