「うさぎ」ではなく「かめ」のペースで進む
もう1つ大切な話をします。
それは、年収1億円を手にする人は、小さな行動を着実に繰り返すことの重要性を、前もって知っている、ということです。
彼らは同じ努力の投下量を、毎日続けています。同じペース配分で努力を続けたほうが、モチベーションを切らさず前に進めます。
童話「うさぎとかめ」でいう、かめのペースですね。
逆に、短距離を走るように、ペース分配をいきなり速めたり、数日間ぴたりと止まってしまうと、モチベーションを維持するのに、かえってエネルギーを消耗します。
飛行機は離陸時に最も燃料を使います。逆に、一度、上空で安定した状態に入ると、燃料の消費量は1/10程度にまで激減します。
同じように、皆さんも何か行動を始めるときに、最も燃費を消費します。逆に、一定の速度で飛び続けているあいだは、意外とモチベーションは減らないものです。
私でも、本の執筆や筋トレなど一度完全に停止した後、以前と同じモチベーションに戻すのには、かなりのエネルギーを消費します。
人間には「現状維持バイアス」というものがあります。
人が持つ脳の特性の1つです。現状を変えたいと思いながらも、なかなか踏み出せない状況を説明するのによく使われるフレーズですが、実は良い習慣を維持する場合にも当てはまります。
一度、良い習慣を手に入れてしまえば、少しずつ続けることで、以前の状態に戻りにくくなるわけです。
たとえば毎朝、筋トレや勉強を続けていて、1日でも欠かすと、「夜に半分の量でもいいから今までのペースを維持しよう」という気持ちが働きます。これは、良い習慣に対して、プラスの現状維持バイアスが働いているからです。
この、プラスの現状維持バイアスを手に入れるためには、1日の行動量を決めて、少量でもいいから続けることです。
歯を磨いたり、服を着替えたりするのに、モチベーションを気にする人はいません。
私はYoutubeをほぼ毎日更新しています。よく周囲から「大変そう」「無理してない?」と驚かれます。
ただ、秘密を明かすと、このペースが一番ラクなのです。たまに風邪を引いたり、出張などで更新できない日が3日ほど続くと、再びカメラの前でモチベーションを奮い立たせるのに、思った以上のパワーを必要としてしまい驚きます。
何かを達成しようとした場合、毎日少しずつ、コツコツ続けていたほうが、結局はラクに続けられます。適切なペース配分をつかむことで、モチベーションややる気が維持できます。
エネルギーにあふれてもっとできると感じても、そうした瞬発力に頼らず、毎日の継続的な行動を優先してください。
そうすることで、行動筋(実際にはそんな筋肉はありませんが)が鍛えられて、多少の困難でも克服できるようになります。何度つまずいても、立ち上がることができるようになります。
そのほうが、結局、長期的に見れば、ずっと健全で高い生産性を発揮できるのです。
もっとも、この本を読んだあなたなら、「うさぎとかめ」のうさぎにはならないはずですね。