支出が収入を上回らないようにする
最後に、必ず成功する人や年収1億円を手にする人だけが持っている「お金の知識」について触れておきます。
彼らに共通するのは、お金に対する不安がないことです。不安にとらわれないため、お金の貯め方、稼ぎ方、そして増やし方を知っているのです。
お金の不安から解放されれば、目の前の行動に集中できます。
そのために大事なのが、全体のバランスを管理することです。
ダイエットしようと決めたとき、まず目を向けるべきなのが体重管理です。これと同じで、収入と支出のバランスを考えて、出ていくお金を減らす、ということです。
当たり前の話ですが、どんなに稼いで収入が多くても、それと同じだけの支出があれば、結局はマイナスになります。一方、入るお金が変わらずに出ていくお金が少なくなれば、基本的にお金は稼ぐほどに増えていきます。
つまり、年収が上がっても、それに合わせて贅沢な暮らしをするようになれば、お金の不安はなくなりません。投資に回すお金も増えません。
収入>支出、これが資産を増やすための原理原則なのです。
お金の勉強をやめない
私やあなたが生きる人生は、意外と短いものです。
とくに現役バリバリで稼げる期間というのは、20歳から60歳ぐらいの、せいぜい40年です。
人生100年時代と言われていますが、健康寿命だけを考えれば、それほど長くはありません。まして積極的にお金を使って、どんどん自己投資をし、そこからリターンを生み出そうとなれば、なおのことです。
このように、人生の中で自分がどの期間に稼いで、どれだけの自己投資をして、株や債券などの金融投資の知識を総動員して増やしていくのかどうか。そのために、どんな収支のバランスがあれば、ある程度余裕を持って行動し続けられるか。
この「行動とリターンのキャッシュフロー」を常に考える必要があります。
このような、行動とリターンのお金のバランスを考えるうえで、最も大切なのが、先に収入と支出の割合を決めておくことです。
極端の話、どんなにビジネスや投資で成功しても、すべてを贅沢品に使い、高層ビルの最上階で優雅な生活を続けていれば、資産はどんどん目減るするばかりで、お金の不安は解消しません。
逆にたくさん稼ぎ、計画的に自己投資して、知識や経験をもとに行動を続けて、同時に生活レベルをそれほど変えなければ、お金は貯まる一方です。
私の好きなハリウッドスターに、ニコラス・ケイジ氏がいます。
彼はヒット作にも恵まれ、1.5億ドル(日本円にして約165億円)もの資産を手に入れました。
さぞかし贅沢な暮らしをしているのか、と思いきや、先日衝撃的なニュースが世界を駆け巡りました。なんと、保有していた全資産を使い果たして、破産手続きを開始したというのです。
どんな資産家や成功者でも、貯蓄を自己投資や資産運用に回さずに、湯水のように豪奢な生活を続けていては、破産してしまいます。
今、この瞬間がリッチでも、悲惨な老後が待っているかもしれません。
そのために大切なことは、❶収入を増やして支出を下げること、❷毎月決まった割合を自己投資に回すこと、❸行動から次のリターンを生み出すこと、❹稼いだお金で全米株式や全世界株式などの金融商品に投資をすること、です。
世界中の富裕層が大きくお金を稼ぎながら、自己投資や金融投資により、さらに資産を倍増させています。
なお、株式投資などの貯蓄から投資のプロセスについては、本書のテーマから外れるため触れません。拙著『勝てる投資家は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)、『一生困らないお金の強科書』(アスコム)で詳しく述べています。ぜひそちらも参考にしてみてください。
上岡 正明
株式会社フロンティアコンサルティング
代表取締役社長