無申告は基礎控除込みが「増差額」となる
一方、財産があるのに無申告だった場合、「増差額」は相続税の基礎控除込みでカウントされます。
例えば、無申告で、相続人が3人だと基礎控除は4800万円(3000万円+600万円×3人)、調査官が把握した財産が5000万円だとすると、5000万円すべてが「増差額」になります。
財産を把握するだけならばあまり手間はかからないので、“おいしい仕事”になります。このように、申告をした人より無申告の人の調査のほうが実績を容易に上げることができるため、調査官は無申告の人を積極的に狙っています。
「増差額」を積み上げた調査官はヒーロー扱い
税務調査官は1年間に8~10件の調査件数の目標がありますが、どれだけ追徴課税を取れたかという税額に関するノルマはありません。
しかし「増差額」が多いと同僚や上司の評価も上がり、時にはヒーロー扱いをされ、昇進への道も開けます。
秋山 清成
秋山清成税理士事務所
税理士
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
※本連載は、秋山清成氏による著書『元国税 相続専門40年ベテラン税理士が教える 損しない!まるわかり!相続大全』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。