財務省の「若手」官僚は気づいている…
最悪なのは、財務省もある意味、「善意」で財政緊縮をやっているという点だ。彼らはそれが正しいと思い込んでいる。
財務省の若手と交流のある経済評論家に聞くと、「緊縮財政にすると結局は経済が転落して元も子もないことになる」ことを若手官僚は気づいているという。
日本経済がこの20年間、欧米並みの成長をしていたら、経済規模は2倍になっていた。そうすれば、税収も2倍以上になっていたはずだ。
ところが財務官僚は目先だけを見て、経済を失速させてしまった。それが間違いだったことを、若手の半分ぐらいはわかっている。ところが、公の席で上司にそれを言えない。
だからある意味カルト教団と一緒だと私は思う。
財務省がこの教義を確立したのは、1980年代のことだ。1973年にオイルショックが起きて、それに伴う財政出動を実施した。今の国債は大部分が10年国債だが、その返済は1983年ごろから始まっていて、10年ごとに借り換えをしている。
私が大学を卒業して、日本専売公社に入社したのは1980年だった。最初に主計課に配属されたが、この部署は財務省の手下というか、御用聞きのようなところだった。
当時はまだ大蔵省だったが、1日中、大蔵省の廊下で待機している。ときどき主査が「おい、森永」と呼ぶのに2秒以内で駆けつけないと怒鳴られた。ほとんど奴隷のような仕事をしていた。
そのときに大蔵省の人たちが言っていたのは、次のようなことだった。
森永 卓郎
経済アナリスト
獨協大学経済学部 教授
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