「インボイス制度」は誰のため?…“税収増加”に憑りつかれた「財務省の執念」【森永卓郎が暴露】

「インボイス制度」は誰のため?…“税収増加”に憑りつかれた「財務省の執念」【森永卓郎が暴露】
(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍以降、欧州各国で減税措置がとられるなか、岸田総理は「消費税(率)を下げる考えはない」と明言しています。物価も上がり国民の家計が圧迫されるなか、日本政府が頑なに消費税率を引き下げないのはいったいなぜなのか。テレビやラジオなど多くのメディアで活躍する経済アナリストの森永卓郎氏が、日本の税金について「不都合な真実」を暴露します。

財務省の「若手」官僚は気づいている…

最悪なのは、財務省もある意味、「善意」で財政緊縮をやっているという点だ。彼らはそれが正しいと思い込んでいる。

 

財務省の若手と交流のある経済評論家に聞くと、「緊縮財政にすると結局は経済が転落して元も子もないことになる」ことを若手官僚は気づいているという。

 

日本経済がこの20年間、欧米並みの成長をしていたら、経済規模は2倍になっていた。そうすれば、税収も2倍以上になっていたはずだ。

 

ところが財務官僚は目先だけを見て、経済を失速させてしまった。それが間違いだったことを、若手の半分ぐらいはわかっている。ところが、公の席で上司にそれを言えない。

 

だからある意味カルト教団と一緒だと私は思う。

 

財務省がこの教義を確立したのは、1980年代のことだ。1973年にオイルショックが起きて、それに伴う財政出動を実施した。今の国債は大部分が10年国債だが、その返済は1983年ごろから始まっていて、10年ごとに借り換えをしている。

 

私が大学を卒業して、日本専売公社に入社したのは1980年だった。最初に主計課に配属されたが、この部署は財務省の手下というか、御用聞きのようなところだった。

 

当時はまだ大蔵省だったが、1日中、大蔵省の廊下で待機している。ときどき主査が「おい、森永」と呼ぶのに2秒以内で駆けつけないと怒鳴られた。ほとんど奴隷のような仕事をしていた。

 

そのときに大蔵省の人たちが言っていたのは、次のようなことだった。

 

——1973年のオイルショックに対応するために、莫大(ばくだい)な財政出動をした。その後、10年経過したから、そろそろ借金返済を始めないといけない。財政を健全化するためには、財政を緊縮化して経済を安定化させなければいけない。ただその場合、法人税は税収が不安定だから、安定して税収が入ってくる消費税タイプのものをやらなければいけない——

 

 

森永 卓郎

経済アナリスト

獨協大学経済学部 教授

 

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※本連載は、森永卓郎氏の著書『増税地獄 増負担時代を生き抜く経済学』(角川新書)より一部を抜粋・再編集したものです。

増税地獄 増負担時代を生き抜く経済学

増税地獄 増負担時代を生き抜く経済学

森永 卓郎

KADOKAWA

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