政府債務増加…健全な水準をアピールするが
フィリピン財務省によると、フィリピンの外貨準備高は2023年3月末時点で991億ドルで、2022年末から1.3%減少しました。また、同省は、フィリピンの総債務は2023年3月末時点で3兆2565億ペソで、GDPの61%に達したと発表した。これは、2022年末のGDPの59%から2%増加しています。
総債務の内訳は、国内債務が1兆8231億ペソ(56%)、対外債務が1兆4334億ペソ(44%)です。国内債務は、国債、地方債、政府系金融機関債の合計です。対外債務は、外国政府、国際機関、外国銀行からの借入の合計です。
財政省は、債務の増加はパンデミックへの対応によるものであり、政府は債務を削減するための措置を講じていると述べています。これらの措置には、歳入の増加、歳出の削減、債務の再編が含まれます。
また、債務は健全な水準にあり、フィリピンは債務を支払う能力があるとも述べています。同省は、フィリピンの信用格付けは安定しており、国際通貨基金(IMF)はフィリピンの財政状況を支持しているとしています。
しかし、一部のアナリストは、債務の増加は懸念材料であると述べています。政府が債務を削減するための措置を講じていないと懸念しており、債務が将来の経済成長の障害となる可能性があると懸念しています。
フィリピンの債務は、パンデミック以前から増加傾向にあります。2020年、パンデミックに対応して、政府は財政刺激策に多額の資金を費やしました。これにより、債務は急速に増加しました。
債務の増加はフィリピン経済のリスクです。政府が債務を支払う能力に問題があると、投資家がフィリピンから資金を引き揚げる可能性があります。これにより、通貨が下落し、金利が上昇し、経済成長が鈍化する可能性があります。
国際通貨基金…2024年フィリピン経済成長率6.0%予測
国際通貨基金(IMF)は、フィリピン経済が2023年に6.5%成長し、2024年に6.0%成長すると予測しています。これは、2022年の成長率6.7%から鈍化しています。IMFは、フィリピン経済の成長を鈍化させる要因として、世界経済の減速、インフレの上昇、ウクライナ戦争などを挙げています。
世界経済の減速は、フィリピンの主要な貿易相手国である米国や中国の減速によって引き起こされています。米国経済はすでに減速に直面しており、中国経済も減速の兆しを見せています。
インフレの上昇もフィリピン経済の成長を鈍化させる要因となっています。フィリピンのインフレ率は、2022年11月に6.1%に達し、1991年以来の最高水準となりました。インフレの上昇は、生活費の上昇につながり、消費者の支出を抑制しています。
ウクライナ戦争もフィリピン経済の成長を鈍化させる要因となっています。ウクライナ戦争は、エネルギー価格と食料価格の上昇につながり、フィリピンのインフレを押し上げています。また、この戦争は、世界の貿易と投資の混乱にもつながっています。
IMFは、フィリピン政府は財政赤字の削減とインフレの抑制に取り組む必要があると述べています。また、政府は、経済の成長性を高めるために、構造改革に取り組む必要があるとも述べています。