日本の政治が駄目=自民党が駄目
国民主権などと軽々しく言われますけれども、今の国民は当事者意識が薄いように思えます。
例えば、地震が本当に起こるというのであれば、本来であれば国民の心得としては、なぜ起こるのかということを考え、最低でも自分で国なり国土に感謝して、「地震をなるべく分散させよう」というふうに思い、祈るということです。
小手先の歴史を教えるのではなく、自分も日本という家の家族のひとりなのだという心得を、きちっと小学校の時から教えるべきだと思いますね。繰り返しになりますが、ご先祖様から引き継いだ自分の国に感謝することなく、これを否定したり貶めたりするような自虐的な存在が生じるのは、はっきり言って、生命体としては不自然です。
病気になったと知った時に、なぜ病気になったのかに向き合うどころか、病気がひどくなって自分が死んでしまうことを喜ぶ、そういう発想が存在すること自体、とても不健全なことです。
政治家のレベルの低下を言えば切りがないわけですが、例えばあのアメリカでさえも、少なくともジョージ・ワシントンなんていうのは自分で立候補したわけではなく、みんなになってくださいと言われてなったということになっている。日本の政治家は本来、そういうものでしょう。
代議員制の仕組み、つまり、手を挙げて俺がやる、というのは平時においては日本人の民族性に合わないのでしょう。ぴりっとした政治家が出にくいのは、根本的な政治システムが国民性に合っていないからだと思います。
戦前は、内閣総理大臣の任命については天皇が最終的に大命降下というかたちで承認されていました。しかし今は国民が直接関与できないところで決まっていきます。
【宮澤】戦後の日本の政治が駄目なのは、要するに自民党が駄目だということです。
それ以前に、いわゆる近代民主主義的な発想に基づく議会制民主主義は、日本には100年も200年も早いのではないですか。世界には、生意気である、と考えている人が結構いるはずです。
先ほど言われたレフツ・ライツの件にしたって、いまだにエドマンド・バーク(1729〜1797年、イギリスの政治思想家。著書『フランス革命の省察』で革命を批判、保守思想の父とされる)の指摘した左右でしか判別していないのではないでしょうか。もはやそのような判別は通用しなくなっているのに。
矢作 直樹
東京大学名誉教授
宮澤 信一
国際実務家
※本連載は、矢作直樹氏と宮澤信一氏の共著『世界を統べる者 「日米同盟」とはどれほど固い絆なのか』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。
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