写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は、世界的に進むDX化の中で、フィリピンのデジタル経済への移行の進捗を中心にみていきます。

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米国投資家、比「ソブリンウェルスファンド」に関心

米国の産業界と投資家は、計画されているマハリカ投資基金(MIFフィリピン国営ファンド、ソブリンウェルスファンド)に関心を示しているとフィリピンの財政予算長官のパンガンダマン氏は述べています。

 

パンガンダマン氏は、今月初めにワシントンDCで米国のビジネスグループや投資家と会談を行いました。このソブリンウェルスファンドの詳細な構造はまだ確定していませんが、下院は、2022年12月にこのソブリンウェルスファンドについて承認しました。上院本会議で、現在この法案を審議しています。

 

同ファンドの初期資本は、フィリピンの国営銀行であるLand Bank of Philippinesとthe Development Bank of the Philippines、フィリピン中央銀行、カジノライセンスを統括するPhilippine Amusementand Gaming Corp、そしてPPP事業からの収益や政府資産の売却によって入ってきた資金を充当する計画です。

 

パンガンダマン氏は、世界的な景気減速の中でソブリンウェルスファンドを推進している理由として、フィリピン経済のファンダメンタルズの強さ、より良い政治制度、マルコス大統領の支持などを挙げています。

 

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コロナ禍前の水準超え!フィリピン「デジタル経済」

フィリピンのデジタル経済は、2022年国内総生産(GDP)の9.4%に相当する2.08兆ペソになりました。デジタル経済が2019年に見られたパンデミック前のレベルである1.96兆ペソを超えたことにあります。

 

デジタル経済は、電子商取引やオンラインメディア/コンテンツなどのデジタル取引を対象としています。GDP全体への貢献度がまだ低いのは、実体経済(デジタル経済以外の活動)がはるかに速いペースで成長したという事実があります。

 

2022年フィリピンのGDPは、7.6%成長し、1976年の8.8%以来の大きな成長率を記録しました。従来のビジネスは、デジタル化を加速し続けており、特にフィリピンの基幹産業であるBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の成長見通しは、引き続き、堅調であり、テクノロジーに対する需要が高まっています。

 

DICT(フィリピン情報通信技術省)の推進する電子政府も、デジタル経済の加速に一役買っています。2022年には、eコマースが26.5%という過去最高の成長を記録しました。全デジタル経済に対するeコマースの割合は、2022年に20%に達し、4,161億2000万ペソになりました。デジタルメディア・コンテンツは昨年11.8%成長し、574.1億ペソになっています。

 

また、デジタルインフラストラクチャの成長率は、7.5%成長になりました。デジタルインフラストラクチャは、全デジタル経済の77.2%(1.6兆ペソ)を占めており、これは、コンピューター、電子製品、電気通信サービスなどをカバーしています。

 

2022年、デジタル経済で雇用されているフィリピン人の数は、2021年の559万人から8.2%増加して605万人になりました。ほぼ4分の3の467万人がデジタルインフラストラクチャに関与する企業に雇用されており、次にeコマースが123万人、デジタルメディア/コンテンツが147,984人です。

 

米国と中国の間の貿易摩擦により、フィリピンがバリューチェーンの一部を担う中国への輸出が弱まる可能性がありますが、一方で米国の需要の一部がフィリピンに向けられる可能性があります。

 

今後、デジタルサービスに対する付加価値税(VAT)の計画的な賦課や、世界的な経済見通しの弱さなどの逆風があり、フィリピンの主要輸出品目である半導体の需要の低迷につながるリスクが指摘されています。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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