「東証プライム市場」上場の6社に1社が「上場基準を満たさず」…日本の“株式市場再編”が骨抜きにされたワケ【経済ジャーナリストが解説】

「東証プライム市場」上場の6社に1社が「上場基準を満たさず」…日本の“株式市場再編”が骨抜きにされたワケ【経済ジャーナリストが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

中小企業や名前の知られていない中堅企業にも良い会社はたくさんあります。 その見分け方がわかれば、転職等のキャリア形成、営業先の開拓、投資の是非の判断といったあらゆる局面で役立ちます。本記事では東洋経済新報社で編集委員を務める経済ジャーナリストの田宮寛之氏が、著書『ビジネスエリートが実践している 教養としての企業分析』(自由国民社)から、優良企業を見分けるための「企業分析」のポイントを解説します。

上場基準が緩くなってしまったワケ

上場基準をより厳しくすれば良かったのですが、そうすると脱落企業が出ます。旧東証一部企業はスタンダード市場やグロース市場に上場されることをトップ市場からの格下げと認識します。

 

格下げによるイメージダウンを避けたい企業は、政治家などの力を借りて金融庁や東証にプレッシャーをかけました。その結果、上場基準は当初の想定よりもかなり緩くなってしまったのです。

 

例えば、プライム市場の上場基準を時価総額500億円とする声が多かったのですが、結局100億円となりました。

 

◆295社がプライム上場基準を満たしていなかった

基準が緩いことに加えて、さらに大きな問題があります。

 

実はプライム市場への上場基準を満たしていない企業がプライム市場に上場しているのです。

 

2022年4月4日時点でプライム市場には1,839社が上場されていましたが、そのうちの295社は上場基準を満たしていませんでした。

 

「経過措置」という制度があり、企業がプライム基準を満たすための計画書を提案すれば、東証一部からプライム市場に移行することができたのです。

 

激変緩和のためですが、この経過措置には問題があります。

 

2022年4月段階では経過措置の期限が決まっていなかったのです。

 

東証は2023年1月になって経過措置の期限を発表しましたが、プライム市場からの撤退の期限は2026年になるとの内容でした。プライム基準を満たしていないのに、4年もプライム市場に上場し続けられるのです。長すぎるとの批判は少なくありません。

 

 

田宮 寛之

東洋経済新報社

記者・編集委員・経済ジャーナリスト

 

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ビジネスエリートが実践している 教養としての企業分析

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田宮 寛之

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