なぜ変わった?東証の新上場区分とは
◆60年ぶりに市場区分を変更
証券取引所は株を売買する市場です。
日本には「東京証券取引所(東証)」、「名古屋証券取引所」、「福岡証券取引所」、「札幌証券取引所」などがありますが、東証の規模が圧倒的に大きいので東証について説明します。
東証は「ニューヨーク証券取引所」や「上海証券取引所」とともに世界を代表する証券取引所の一つです。東証は企業規模などよって「プライム市場」、「スタンダード市場」、「グロース市場」の3つの市場に区分されています。
「プライム市場」には国際的に展開する大企業1838社が所属しています。株主数800人以上、時価総額(注)100億円以上などの基準をクリアした企業です。
「スタンダード市場」のメンバーは国内中心に事業展開する企業1449社です。上場基準は株主数400人以上、時価総額10億円以上です。
「グロース市場」には成長性の高い新興企業509社が所属しています。株主数150人以上、時価総額5億円以上が基準です(企業数は、3市場とも2022年12月16日時点)。
「プライム」、「スタンダード」、「グロース」といった区分がスタートしたのは2022年4月4日です。
それまでは「東証一部」、「東証二部」、「マザーズ」、「JASDAQ」の4つに区分されていました。東証が市場区分を再編するのは60年ぶりのことでした。
(注)時価総額
時価総額とは「株価×発行済み株式数」で計算され、企業規模を示します。数値が大きいほど会社の価値が高いと評価されます。
◆なぜ市場再編?
「東証一部上場」というと名門の一流企業というイメージがありませんか?
たしかに昔はそうでした。
東証一部に上場すれば、取引や資金調達、採用で有利になるだけでなく、名誉なことでもありました。
多くの企業が「東証一部上場」を目指し、歯を食いしばってがんばったものです。
ところが、2002年に東証が上場企業数を増やすために、上場基準を引き下げたことから、一部上場企業が急増します。
その後の約20年間で一部上場企業は約700社も増え、東証の上場企業全体の6割を占めるようになりました。
6割ともなれば名門一流企業ではなく、普通の企業です。個別に企業を見てみると、時価総額が10億円台の企業もあれば30兆円超の企業もあり、「東証一部上場」の価値が極めて曖昧となってしまいました。
また、東証二部、マザーズ、JASDAQの3市場とも、「これから成長して一部上場を目指す企業のための市場」というのがコンセプトであり、3市場の位置づけが分かりにくい状況でもありました。
そこで、明確なコンセプトをもとに4市場を3市場に再編したのです。
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