(※写真はイメージです/PIXTA)

出演していたテレビ番組での言動などをめぐり、SNS上で誹謗中傷を受けていた22歳の女子プロレスラーが命を絶った痛ましい事件。こうした事件のほかにも、近年急増するインターネット上やそれ以外の場での誹謗中傷問題を受け、2022年に民法が改正、侮辱罪の刑罰が引き上げられました。では、どのような行為が侮辱罪に該当するのでしょうか? Authense法律事務所の弁護士が侮辱罪が成立するケース、しないケースについて詳しく解説します。

「侮辱罪」とは?

侮辱罪とは、「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した」ことによる罪です。 これを分解すると、侮辱罪が成立するための要件は、次の2点となります。

 

■「公然と」であること:ほかの人もいる場での発言や、ほかの人も見ることができるSNSなどへの投稿などがこれに該当します。

 

■「人を侮辱した」こと:具体的な事実の摘示がなくとも、たとえば「無能」「バカ」「デブ」「ハゲ」などの悪口がこれに該当する可能性があります。

 

「名誉棄損罪」とはなにが違う?

(※写真はイメージです/PIXTA)
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侮辱罪とよく似た刑罰に、名誉棄損罪が存在します。 名誉棄損罪は、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した」ことによる罪です。

 

なお、ここでいう「事実」とは、「本当のこと」という意味ではありません。本当の内容であっても事実無根の内容であっても、それが相手の社会的評価を低下させる内容である以上、名誉棄損罪が成立する可能性はあります。

 

たとえば、実際には不倫などしていなかったとしても、「A氏は不倫をしている」などとSNS上で吹聴することは、名誉棄損罪に該当しうるでしょう。

相手から侮辱を受けたら…法的対応方法

相手から侮辱を受けた際に検討できる法的対応は、次のとおりです。

 

相手の身元特定

次に解説をする告訴や損害賠償請求を行うには、侮辱をした相手が誰であるのか特定できていることが前提となります。

 

相手が匿名のSNSユーザーである場合には、先に相手を特定することが強く推奨されます。また、知人などからの侮辱であっても、刑事告訴をする場合などには、客観的な資料入手のため一定の手続きによって相手を特定することが推奨されます。

 

相手を特定するには、まず、SNS運営企業などに情報開示請求をします。 裁判所を介さずに開示請求をする方法もありますが、SNS運営会社が任意での開示請求に応じる場合は多くありません。そのため、裁判所の手続きを利用して開示請求をすることが多いです。

 

SNS運営企業などから相手のIPアドレスなどの情報が取得できたら、プロバイダに開示請求を行います。 これで、ようやく相手の情報がわかります。

 

侮辱罪として告訴

侮辱を受けた場合の1つ目の法的対応策は、侮辱罪として相手を告訴することです。 侮辱罪は「親告罪」であるため、起訴してもらうためには被害者からの告訴が必要となります。侮辱罪で相手を告訴したい場合には、警察に告訴状を提出します。ただし、告訴状を提出したくても、速やかに警察が告訴状を受理してくれるとは限りません。そのため、相手に罪を償わせたい場合には、まずは弁護士に相談したほうがよいでしょう。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
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損害賠償請求

侮辱を受けた場合のもう1つの法的対応策は、相手に対して損害賠償請求をすることです。先ほど解説した侮辱罪などは、刑法上の概念です。そのため、仮に罰金刑などが課されてもその罰金は国家が収受するものであり、被害者が受け取るものではありません。

 

一方で、損害賠償請求は民事上の概念であり、侮辱によって被害者が受けた苦痛を金銭の形で賠償してもらう方法です。「慰謝料請求」といったほうが、イメージが湧きやすいかもしれません。損害賠償請求をするためには、相手に対して内容証明郵便を送ったり、訴訟を提起したりします。

 

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