若い医師「マニュアルではこうです」「娘が大変なときに」…教育現場にも通ずる、医療現場で目撃した“現実”【教育のプロが提言】

若い医師「マニュアルではこうです」「娘が大変なときに」…教育現場にも通ずる、医療現場で目撃した“現実”【教育のプロが提言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

自分は劣っている。自分を肯定できない…。そんな人には言えない苦悩やコンプレックスを子どもに与えているもの、それが「学力」である。上級学校に進学することが幸せにつながる?大学を出ればいい仕事に就いて成功する?本当に?未来を生きる子どもたちには、「学力」とは別次元の大切な「物差し」があることを伝えなければならない。今を生きる子どもたちとの「向き合い方」について、都立高校での校長歴・計14年、不登校の高校を改革し、退学者を半減させた経験を持つ、磯村元信氏の著書『さらば学力神話:ぼうず校長のシン教育改革』(新評論)から一部抜粋して紹介する。

「あの先生は教員らしくない」がほめ言葉だった時代

「あの先生は教員らしくない」かつては、こう言われるのがほめ言葉だった。

 

教員面して偉そうなことを言わない。本音で話をしてくれる。そういう子ども心や親心をくすぐる教員のことを、このように表現していた。

 

教員は偉い。

 

本当にそうかどうかは別として、世間ではそういうことにしておいたほうが家庭での教育はうまくいく、そんな時代背景であったころのことである。

 

でも、今は違う。

 

「あの先生は教員らしくない」といった風評が立つと、教員として大丈夫なのかと、身分さえあやうくなってくる。建前と本音の使い分けが微妙という、難しい時代になってきたわけだ。

 

世の中全般がそうだから、教育界でも建前をひたすら通しておればとりあえずは無難である。そうなってしまうのも、仕方のないことかもしれない。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

しかし、建前だけでは人は育たない。

 

なぜかと言えば、建前に触発されたり、感動したりする人はいないからだ。

 

いまだに某ヨットスクールが健在なのは、壊れた家庭環境で八方ふさがりになった親子にとっては、暴力行為は肯定できないにしても、いかなるバッシングを受けようが変わらないという校長の本音と信念に「救いの光」を見るからではないだろうか。

 

大人の自己保身よりも子どものことを優先する。あるべき教育の魂を垣間見るからであろう。

 

正直に心を打ち明ければ、私は大変な学校(いろいろな意味で)が大好きだ。

 

かつて、問題ばかり起こすやんちゃな生徒を集めて、柔道の全国大会や関東大会に出場したときの汗と涙と感動が蘇ってくる。部活を強くする楽しさが、今は学校をよくする楽しさに変わっただけのような気がする。

 

大変な学校であればあるほど、生徒と教員が本音でぶつかり、悔し涙やうれし涙を流せる「泣ける学校」となるからだ。

 

さらば学力神話:ぼうず校長のシン教育改革

さらば学力神話:ぼうず校長のシン教育改革

磯村 元信

新評論

学び直しは、生き直し!NHK『クローズアップ現代』などで紹介され話題。 課題集中校の元名物校長が学力神話を吹き飛ばし、真の学びの場とは何かをパワフルにつづる痛快教育エッセイ 「小学校から不登校で、発達障害も疑わ…

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