(※写真はイメージです/PIXTA)

3組に1組の夫婦が離婚するといわれている現代。だが女性の場合、離婚後に子どもを抱えて経済的に困窮するケースは多い。収入面に懸念が多くなりがちな母子家庭だが、その理由として、別れた父親からの養育費の不払いがあるといわれている。一方で、男性の懐事情を見てみると「ない袖は振れない」厳しい状況が垣間見える。

前夫の養育費の支払いに「期待しない」女性、多数

2020年の『国勢調査』によれば、全国のひとり親世帯は72万1,290世帯。そのうち「母子世帯」は64万6,809世帯。母子世帯となった理由で最も多いのが 「離別」で52万1,263世帯。

 

母子家庭の家計の厳しさは、世間でもよくいわれており、養育費が支払われないということが、大きな要因として考えられている。

 

だが、離別時にどのような取り決めをしているのかというと、厚生労働省『令和3年度全国ひとり親世帯等調査』によれば、母子世帯のうち「養育費の取り決めを行っている」のは47.0%、「養育費の取り決めをしていない」が51.0%となっている。つまり、養育費の取り決めを行っていないケースが半数を超えている。理由としては、50.8%が「相手と関わりたくない」、40.5%「相手に支払う意思がないと思った」と回答している。

 

【養育費の取り決めをしていない理由】

 

1位「相手と関わりたくない」50.8%

2位「相手に支払う意思がないと思った」40.5%

3位「相手に支払う能力がないと思った」33.8%

 

「取り決めの交渉がわずらわしい」19.4%、「相手から身体的・精神的暴力を受けた」15.7%、「取り決めの交渉をしたがまとまらなかった」14.6%

 

出所:厚生労働省『令和3年度全国ひとり親世帯等調査』より

※複数回答

 

この結果から離別女性の「最初からあきらめている」状況が推察される。離別した男性は、上記に対してどのように思うのだろうか。

母子家庭が受け取る養育費、平均5万円だが…

当然だが、なかにはしっかりと養育費を支払っている男性もいる。厚生労働省『令和3年度全国ひとり親世帯等調査』によれば、母子家庭のうち、養育費を受けている(受けたことがある)世帯における養育費の平均月額は、5万0,485円となっている。

 

毎月の支払いとなれば、5万円というのはそれなりの負担となる金額だが、日本のサラリーマン男性の給与の実情はどうなっているのか。

 

総務省統計局の「家計調査 家計収支編(2022年)」によると、サラリーマン(正社員)男性の平均像は、年齢43.5歳、月収が35万3,000円、年収が579万8,000円。40代前半男性に絞ると、平均給与は46万7,000円、手取り35万5,000円だ。

 

新生銀行の「2022年会社員のお小遣い調査」によると、男性会社員の毎月の平均お小遣い額は3万8,642円。40代は3万8,049円だった。ライフステージ別では、未婚者は4万5,549円であり、男性会社員全体より約7,000円高くなっている。

 

ちなみに、同調査によると、男性会社員の昼食代は623円で、2021年の649円とほぼ同水準。20代男性は727円と、世代のなかで唯一700円台を超えた。30代は561円、40代は645となっている。

強制的な取り立て、そもそも無理なのでは?

これらの統計の数字から見えてくるのは、あまりにも厳しく、そして寂しいサラリーマンの懐事情だ。40代の男性のお小遣い3万円台、昼食代600円台…。

 

「養育費は、いまの妻と結婚するまでは何とか払っていました。しかし、再婚して新しく家庭を築いたいま、当然ですが、お金が…。再婚した妻にガッチリ抑えられ、小遣いもギリギリ。もちろん、払えるものなら払いたいですが、正直〈ない袖は振れない〉という状況です」

 

ある離婚経験者の40代男性は語る。

 

アメリカでは、裁判所で決定した養育費を定期的に取り立てて回収する公的機関があり、日本のように支払いから逃げることは許されないのだという(記事『【婚姻と養育費】日本では泣き寝入り多数の「養育費踏み倒し」だが…アメリカ司法「非情なまでに取り立てる」スゴい仕組み』)参照。

 

それに倣い、日本でも「逃げ得」を許さないよう、厳しく取り立てる仕組みを求める声があるが、日本のサラリーマンの実情を見る限り、一部の高所得者をのぞき、強制的に取り立てること自体が難しいケースも多いのではないか。

 

養育費の支払いを考える以前に、もっと日本人の所得について、根本的な部分の問題解決に取り組むべきなのかもしれない。

 

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