メインターゲットは「情報アンテナの高い女性」
「エコ」は、欧米や日本を中心としたトレンド、「時短」は、日本ならではのトレンドです。しかし、世界各国のコインランドリーに浸透しつつあるトレンドがあります。
それは「コンファタビリティ」。つまり快適さ、居心地のよさです。前々回でお話したように、従来のコインランドリーには、ほとんどコンファタビリティは考慮されていませんでした。まさに作業場だったのです。これは実利を重視する独身男性をターゲットとしていたので当然ともいえるでしょう。
ところが、時代は変わりました。現在のメインターゲットは、子育てにも、仕事にも、ファッションにも積極的な女性です。情報アンテナの高いこのような女性は、コインランドリーに限らず、よりおしゃれで便利な環境を常に望んでいるものです。
この傾向は日本に限りません。女性たちは、洗濯が終わるまでの1時間をメールの送受信だけに費やしたくはないと思っているのです。自分がそこを利用して恥ずかしくないか、迷わず使いこなせるか、待ち時間を有効利用できるか、ママ友とのコミュニケーションの場となりえるか、といったことをお店選びの判断材料にしています。
具体的なイメージとしては、ホテルのラウンジのような居心地のよさです。温かみのあるインテリア。洗濯という作業をしにくるのではなく、洗濯という時間を利用して癒やされにくる空間といえるでしょう。
あらゆる人に対応した「ユニバーサルデザイン」の導入
また、「コンファタビリティ」には、見た目のよさだけでなく、使いやすさも重要です。機械操作に不慣れな女性でも、簡単に使いこなせなければなりません。そのため今後は、操作パネルはできるだけシンプルにして、スマートフォンのように直感で操作できる機械や、操作方法を音声で教えてくれる機械が主流になるでしょう。
さらに店舗内に小型ディスプレイを設置し、使い方ビデオを見てもらうことで操作方法を理解していただく方法もあります。そのうえで維持・管理のしやすさも重要です。たとえば、凸凹を極力排したデザイン。シンプルなので、あらゆるインテリアとの相性がいいというだけでなく、ほこりがたまりにくく、角が少ないので安全性も高いというメリットがあります。
このような国籍、文化、言語、老若男女、障害、能力を問わず使いやすいように配慮された形状、機能をユニバーサルデザインといいます。身近なものでいえば硬貨の投入口の大きい自動販売機や自動ドアなどです。
コインランドリーは主婦層が中心とはいえ、まさに老若男女が来店する場所。または老若男女が集う場所を目指すべきです。ユニバーサルデザインの導入を積極的に検討すべきです。