(※写真はイメージです/PIXTA)

日本国民の多くは「日本は国家として独立している」という認識です。しかし、東京大学名誉教授の矢作直樹氏と、世界の金融や国際協議の実務にかかわる宮澤信一氏は、複数の明確な理由から「日本は真の独立国とはいえない」と断言します。いったいなぜなのか、ほとんどの国民が気づいていない「非独立国・ニッポン」の真相をみていきましょう。

水面下で行われた「北方領土」を巡るかけひき

【矢作】それはやはり、世界を動かしている人たちのしきたりというものでしょうね。日本がどうこう言ってもしょうがないことです。

 

独立できないしする必要もない日米同盟の考え方においての独立とは別に、国民的独立ということがあります。実務的、実際的な動きにおいては日米同盟で動けているけれども、日本が日本国としてすべきことをしてない、ということなのですが。

 

こういった、しきたりというものを守れていないのですね。どれだけマッチョであっても、しきたりが守れていなければ会議には出してもらえない。日本は、ビルダーバーグ会議を運営している人たちの常識で言う独立国ではないということです。

 

安倍首相の時には、ロシアが、北方領土に軍を置かないことは可能か、と聞いてきたんですね。それをなんというのか、聞くだけ野暮ですが、外務省にその質問を照会した。外務省は当然、それは無理です、と答えます。

 

【宮澤】プーチンは頭にきたのではないですか。顔を潰されましたからね。

 

【矢作】返してもらってしまえば、もうこっちのものです。あとでなにをしようが、約束を反ほ故ごにするのは国の常というものですから。

 

【宮澤】アメリカからしても、北方諸島が日本に戻ることには、非常な軍事的メリットがあります。

 

北方諸島の4つの島のどこかにミサイル中隊を1個置けば、それだけでロシアは南へ下りられません。緊張が高まるようなそんなことは、気をつかってアメリカもやらないと思いますが、予定はできます。

 

第二次世界大戦終戦当時、戦勝国のアメリカとロシアつまりソ連は仲が良かったけれども、1946年のウィンストン・チャーチル英国首相の鉄のカーテン演説以降、アメリカとロシアは仲が悪くなった。日本の地図が中途半端なままになったのです。

 

以降、ロシアは北方諸島を戦略的に持ち続けていたのだけれども、実はプーチンは親日家で、返してもいいよ、ということになった。元の日本地図に収まれば独立状態を回復できるのだから、という話までしていますよ。事情をちゃんと知っているのです。

 

ビルダーバーグ会議からしてみても、そういうことがちゃんとできないような国は信用できませんよね。会議のメンバーに名を連ねる王族は特に帝王学を学んでいて、幼少より領土とはどういうことかというのを厳しく徹底的に仕込まれます。そういう人たちからすると、「なんだ、この国は?」となるのです。

 

戦後70何年、経済的に豊かになって戦争を1回もしていない安定のなかにあるけれども、領土を元に戻すことすらできないのか、そんな国を信用できるか、ということでもあるでしょう。

 

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次ページ日本が「独立国」となるための“落としどころ”とは

※本連載は、矢作直樹氏と宮澤信一氏の共著『世界を統べる者 「日米同盟」とはどれほど固い絆なのか』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

世界を統べる者 「日米同盟」とはどれほど固い絆なのか?

世界を統べる者 「日米同盟」とはどれほど固い絆なのか?

矢作 直樹

ワニブックス

「日本にウクライナ侵攻の悲劇は起こらない!」……アメリカが諸外国の侵略から日本を絶対に守る理由とは? 東京大学名誉教授の矢作直樹氏と、世界の金融や国際協議の実務にかかわる宮澤信一氏が、6つのキーワードから世界…

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