全世帯の「たった0.02%」から〈視聴率〉は計算されている…それでも「信頼できるデータ」を導き出せる“痛快なワケ”【数学のプロが解説】

全世帯の「たった0.02%」から〈視聴率〉は計算されている…それでも「信頼できるデータ」を導き出せる“痛快なワケ”【数学のプロが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「文系」「アナログ脳」でも数学的な考え方を身に着けることは可能です。数学的な考え方ができるようになると、今まで「ざっくり」とか「なんとなく」で判断していたことも、かなり正確に把握できるようになり、それはビジネスにおいて大いに役立つスキルとなります。本連載では、株式会社数学アカデミーの代表取締役で、企業を対象にした数学リテラシー向上研修やデータ分析コンサルティング事業を行なう鈴木伸介氏の著書『仕事に役立つ数学:AI時代に差がつく』から「仕事で使える数学」について、一部抜粋してお届けします。

【疑問1】を解決する「計算式」とは

全体の平均も、基準はサンプルの平均値である412分です。そして、ここからどれくらいまで離れた中に入っている可能性があるか、を考えます。それが次の式です。

 

1.96×(サンプルの標準偏差/√(サンプル数))

 

ここで唐突に「1.96」という数字が出てきましたが、これについてはかなり高度な数学を要しますので、別の機会でお話しすることにしましょう。

 

「サンプルの標準偏差」と「サンプル数」はわかりますね。それぞれ、45.50と900です。

 

そして、この式はどんな背景から出てきたのか疑問に思う人もいるでしょう。

 

これについてはかなり込み入った統計学の話になってしまい、本書の本来の目的である「ビジネスで使える」という趣旨からだいぶ逸れてしまいます。ですので、本書では深入りはせずに、使い方だけお伝えすることにしておきたいと思います。

 

この式に「サンプルの標準偏差」と「サンプル数」を当てはめてみましょう。すると、

 

1.96×(45.5/√900)

 

となります。√900とは、2乗して900になる数のことでした。30×30=900なので、√900=30です。つまり、

 

1.96×(45.5/30)

 

となり、これを計算すると、約2.97分という結果になります。およそ3分です。

 

これは、「全体の睡眠時間の平均値は、サンプルの平均値である412分からプラスマイナス3分の誤差の範囲の中にある」ことを意味しています。

 

つまり、今回のアンケート調査から、日本全体の30代から50代の睡眠時間の平均値は、「おそらく409(412-3)分から415(412+3)分の間にある」というように結論づけられるわけです。これで先ほどの【疑問1】が解決されました。これだけ狭い範囲まで限定できるのは、ある意味すごいですよね。これが統計学の力です。

 

 

 

鈴木 伸介

株式会社数学アカデミー 代表取締役

 

仕事に役立つ数学:AI時代に差がつく

仕事に役立つ数学:AI時代に差がつく

鈴木 伸介

小学館

「文系」「アナログ脳」でもよくわかる! 「数学」を仕事に使わないなんてもったいない! 「医学部受験数学講師」兼「中小企業診断士」の著者がとっておきのスキルを大公開。 本書には、こんな内容↓が書かれています…

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