(※写真はイメージです/PIXTA)

一般的に公務員は「高属性」と認識されていることから、金融機関からの評価は高く、住宅ローンも通りやすい。頭金なしの「全額ローン」も比較的容易だ。だが、そんな自身の「属性」を過信して油断すれば、足元をすくわれることになりかねない。

「フルローン、いけますよ」新卒公務員をそそのかし…

国土交通省の資料によると、マイホームの購入を果たす人(世帯主)の平均年齢は40歳前後。だが、地方公務員の場合は、20代の若さでありながら、フルローンで新築マイホームを購入する人も珍しくはないという。

 

住宅販売の営業マンは語る。

 

「若い公務員の方の住宅購入、多いですよ。公務員なら、将来的な収入もある程度予測できます。そのため、会社員に比べて信用力は高いです。もちろん金額にもよりますが、頭金なしのフルローンも大丈夫なケースが多いですね」

 

総務省『令和3年4月1日地方公務員給与実態調査結果』によれば、地方公務員(一般行政職)の平均給与は月40万2,948円。初任給は高卒(試験)で15万4,067円、大卒(試験)で18万7,623円。そこに諸手当が上乗せされるかたちだ。

 

公務員の給料は、年齢を重ねるごとにきれいな右肩上がりで上昇していく。だが、諸手当のプラスはあるとはいえ、平均給与が突出して高額なわけではない。それにもかかわらずフルローンが可能ということは、公務員の「信用力」の高さがわかるというものだ。

 

高い信用力に裏打ちされ、「フルローン」も容易に組めることから、20代という若さでもマイホームを手に入れられる公務員たち。なんともうらやましい話ではないか――。

 

【年齢別:公務員(一般行政職)の給与】

 

18~19歳:154,588円

20~23歳:181,350円

24~27歳:206,046円

29~31歳:233,770円

32~35歳:263,213円

36~39歳:297,271円

40~43歳:335,490円

44~47歳:363,366円

48~51歳:382,392円

52~55歳:397,946円

56~59歳:409,259円

 

出所:総務省『令和3年4月1日地方公務員給与実態調査結果』より
住宅ローン返済…適正かどうかを見極める「3つの指標」

「私は公務員ですから」油断がローン破綻の引き金に!?

だが、一部の専門家からは「自制しないと、破綻の可能性もある」と危惧する声もある。公務員の場合、信用力の高さが災いして限度額を超えた借入を勧められ、結果、その後の生活が非常に厳しいものとなるリスクがあるという。

 

ローンが適正か否かを判断する際の基準には「年収倍率」「返済負担率」「完済年齢」の3つがある。

 

◆年収倍率

適正な借入額は「年収の5倍」がひとつの目安となっている。だが、金融機関の貸出可能額は年収の8倍といわれており、大きな乖離がある。たとえば月収23.3万円の20代後半の公務員の場合、賞与が4.4ヵ月分とすると、年収は382万円だ。この数字から、だいたい2,000万円の借入が限度だとわかる。しかし金融機関は、公務員なら3,000万円程度の借入までOKとする可能性が高い。

 

◆返済負担率

理想は20~25%といわれる。上述の公務員の例でいうなら、月々6.3万~7.9万円の返済プランだ。だが、金融機関は返済負担率の上限を30~35%とするところが多く、逆算すると、9.5万~11.1万円でもOKとされてしまう。年収382万円程度なら綱渡り状態となることは明白で、臨時の出費があればすぐさま返済が滞り、破産に至るリスクをはらむことになる。

 

◆返済年齢

近年では晩婚化が進み、第一子の誕生や、マイホーム購入時に40台に突入している人も散見される。仮に40歳で35年ローンを組めば、完済は75歳。75歳といえば後期高齢者であり、年金を受給しながら住宅ローンの返済をおこなうのは大変だ。その点を考慮するなら、20代でマイホームを購入すれば、35年ローンでも完済は65歳前。繰り上げ返済を考えずともよく、返済プランとしては理想的といえる。

 

信用力の高さから、一般的な会社員よりも「多めの借入」が可能となってしまう公務員。うっかりしていると、不動産会社や銀行マンに乗せられて、限界ギリギリなローンを背負いこみかねない。

 

安定感ある高属性の職業ゆえに、無理筋なローンを背負って破産しては元も子もない。油断せず、ゆとりある将来設計を行うことが、何より重要なのだ。

 

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