(※画像はイメージです/PIXTA)

2023年4月から、従業員1,000人超の企業について育児休業取得状況の公表が義務化されています。これは2022年4月から段階的に行われてきた「育児休業法」の改正法施行の総仕上げにあたるものです。現政権は「異次元の少子化対策」を掲げており、その本気度が問われています。本記事では、これまで1年かけて施行されてきた「育児休業法」の改正法の概要を振り返りながら、克服しなければならない課題を検証します。

◆2. 非正規雇用の労働者の育児休業取得要件の緩和(2022年4月より施行)

非正規雇用の労働者(派遣、パート、アルバイト)の育児休業の取得要件が緩和されました。

 

以前は、非正規雇用の労働者については「引き続き雇用された期間が1年以上」という条件がありました。

 

しかし、この条件が原則として撤廃され、子が1歳6ヵ月になるまでの間に「契約が満了することが明らか」な場合を除いて、育児休業を取得できるようになりました。

 

◆3. 産後パパ育休(出生時育児休業)の新設(2022年10月より施行)

産後パパ育休は、父親が、子の出生後8週間以内に取得できる休暇です。父親には従来は育児休業しかありませんでしたが、それに加え、新しく設けられた制度です。

 

父親が、出産直後の母親と子を身近で支えることができるようにするものです。

 

合計4週間まで、1回で全部取得することも、分割して2回まで取得することもできます。

 

なお、産後パパ育休を取得した場合には、給与日額の3分の2(67%)の「出生時育児休業給付金」を受給できます。

 

◆4. 育児休業の分割取得が可能に(2022年10月より施行)

以前は育児休業の分割取得は原則としてできませんでした。しかし、改正により育児休業を2回まで分割取得できることになりました。

 

これにより、たとえば、たとえば、父親が1回目の育児休業を取得したあと、母親が職場復帰するタイミングで2回目の育児休業を取得するなど、柔軟な対応ができることになります。

 

◆5. 子が1歳になった以降に育児休業を再取得する場合の開始日の柔軟化(2022年10月より施行)

育児休業制度には「再取得」の制度があります。子が1歳になった後も保育所に空きがないなどのやむを得ない事情がある場合に認められるものです。

 

この育児休業の再取得の場合、以前は、開始日が「1歳」「1歳半」のいずれかの時点に限られていました。しかし、改正により開始日が柔軟化されました。

 

また、2回に分けて取得することもできるようになっています。

 

◆6. 育児休業の取得情報公表の義務化(一部事業者のみ・2023年4月から施行)

この2023年4月から、従業員1,000人超の事業者について、育児休業の取得に関する情報を公表することが義務化されました。

 

しかし、事業者全体のうち、従業員1,000人超の事業者はごく一握りにすぎません。また、後述するように、実効性に課題を残しています。

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