写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今回は高インフレ・高金利が続くなか、これらに最も影響を受ける不動産セクターを中心に、最新動向をみていきます。

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フィリピン「不動産価格指数」前年同期比8%弱の上昇

フィリピン中央銀行 Bangko Sentralng Pilipinas(BSP)によると、フィリピンの住宅用不動産価格指数(RREPI)は、2022年第4四半期に、デュプレックス住宅とコンドミニアムに対する強い需要に牽引されて、前年同期比で7.7%上昇し、前四半期の6.5%の伸びや2021年の同時期の4.9%から大幅に増加しました。この不動産価格の伸びは、2020年の第2四半期に記録された26.6%以来の高い数値です。

 

RREPIは、住宅の種類や場所ごとに住宅価格の変化をフォローします。これにより、中央銀行は、銀行の貸出規制が設定されているフィリピンの不動産市場をチェックしています。

 

全国的に、デュプレックスの価格は第4四半期に42.9%上昇しました。コンドミニアムは12.9%、一戸建て・一戸建ては10%と急上昇しています。一方、タウンハウスの価格は第4四半期に6.8%下落し、2四半期連続で下落しました。また、RREPIは、首都圏(NCR)の住宅価格が第4四半期に前年同期比で16.1%上昇したことを示しました。一方、首都圏以外の地域の不動産価格は4.5%上昇でした。

 

中央銀行のデータによると、第4四半期の住宅ローンは、金利上昇の影響を反映して、マニラ首都圏で▲22%、首都圏以外で▲3.4%ローンが減少したため、前年同期比で10.3%減少しました。これらのローンのほぼ半分(57.2%)は、新築一戸建て向けで、コンドミニアム向けは22.5%、タウンハウス向けは19.8%となっています。

 

雇用環境が改善し、海外で働くフィリピン人(OFW)からの送金額が増加傾向にあることが、堅調な住宅需要に繋がっているとされています。一方で、建設資材の高騰、住宅ローン金利の上昇、地価の急上昇などの影響で、今後の市場動向が左右されるでしょう。

 

中央銀行は、3月のインフレ率は7.4~8.2%の範囲内に落ち着くと予想しています。2月のインフレ率は8.6%、1月は、14年ぶりの高水準の8.7%でした。中央銀行は、4月初めに政策金利をさらに25bps引き上げ、16年ぶりの高水準である6.25%に達しました。

 

次の政策の動きは、今後数ヵ月の消費者物価の動向に大きく依存すると述べています。また中央銀行は、2023年通年のインフレ率を、2022年の5.8%よりも高い6%とみています。2024年には2.9%に下落するという予想です。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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