マナーのつもりが大失態!?「“手皿”は自身の無作法の恥をさらすようなもの」【フードプロデューサーが解説】

マナーのつもりが大失態!?「“手皿”は自身の無作法の恥をさらすようなもの」【フードプロデューサーが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

食の知識はグローバル社会の必須教養であり、他国の食文化への敬意がビジネスエリートの武器となります。約4万人の人生を変えてきた人気テーブルマナー研究家・小倉朋子氏の著書『世界のビジネスエリートが身につけている教養としてのテーブルマナー』より、「世界のエリート層の食べ方とふるまいからにじみ出る教養」について解説していきます。

お造りは「あっさり→こってり」の順で食べる

正式な陰陽五行説の順序はあるものの、現代ではお造りを食べるときは、「あっさり→こってり」と覚えておくのが一番無難です。


白身魚のような淡白な味わいのものから始め、青魚やマグロの赤身、トロなどは後にするイメージで食べていくと、先に食べたものの味が後に食べるものの味を邪魔せず、すべてをおいしく食べられるのです。


また、ツマ(大根の千切り、大葉、穂紫蘇など)はすべて、お刺身の合間に口をさっぱりさせるハーブのようなものと考えて、好きなタイミングに食べてかまいません。

 

大根の千切りは、ひと口に入るサイズにまとめ、お好みで醤油を少しだけつけて食べます。穂紫蘇は、醤油の香り付けのために醤油皿にしごいて落とす、それをお刺身と一緒に食べる、あるいは茎を持って実をかじる、いずれもOKです。

 

大葉をお刺身に巻いて食べるのもアリです。

 

「ワサビは刺身に直に乗せるもの」と思い込んでいる人は多いようですが、ワサビを醤油に溶くのもマナー違反ではありません。


ただ、いったん溶いてしまうと醤油がワサビ風味一色になるので、私のおすすめは、どちらかというと刺身にワサビを乗せる食べ方です。


こうしたほうが、魚の種類によってワサビをつけるかどうか、どれくらいつけるかを自分で加減できるので、最後まで醤油の香りを楽しみつつ、お造りをおいしく食べられるでしょう。

尾頭付きの魚は、「魚の構造」に従い、「魚の声」を聴く

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

尾頭付きの魚はハードルが高いと感じている人は多いと思いますが、怖がる必要はありません。いくつかコツを押さえておけば、誰でも美しく食べられます。


最大のポイントは「魚の構造」に従って食べていくこと。まずエラの脇にお箸を入れ、頭側から尾側へと順に食べていくと、きれいに身が取れます。


上側の身がなくなったら、次は下側の身を食べますが、このとき、魚をひっくり返してはいけません。

 

魚の頭を手で支えながら、お箸で尾をポキッと上に折って骨を下側の身からはがし、最後に頭も外して一緒にお皿の奥のほうによけます。すると下側の身だけが残るので、きれいに食べ進めることができます。


身から取り除いた小骨は、お皿の右奥にコンパクトにまとめていきます。そして、食べ終えたら改めてお皿の上を眺めましょう。もし散らかっていたらお皿の右奥にまとめます。

「手皿」は、みずから無作法の恥をさらすようなもの

片手をお皿のように添えて食べている人を、よく見かけます。


なぜ、そうしたくなるのかというと、お箸から食べものが落ちてしまいそうな気がするからでしょう。だとしたら、「私はお箸から食べものが落ちるような食べ方しかできないんです」と表明しているのと同じことです。


もし本当に手の上に落ちてしまったらどうするのでしょう。


現実問題として手から食べるわけにはいきませんし、お皿に覆いかぶさるようにして食べるのも美しくありません。落ちる先が手ではなくお皿ならいい、という話ではなく、そもそも「落ちるような食べ方をしていること」が問題なのです。


解決策は簡単です。


「お箸で持てる量」「自分の一口に入る量」を、ちゃんとわかっておくこと。そうすれば、適量を箸で取り、一口で食べることができます。

 

手で持てる器ならば、背筋を伸ばしたまま器を胸元まで持ち上げ、適量を取って食べましょう。

 

 

株式会社トータルフード代表取締役

小倉 朋子

世界のビジネスエリートが身につけている教養としてのテーブルマナー

世界のビジネスエリートが身につけている教養としてのテーブルマナー

小倉 朋子

SBクリエイティブ

約4万人の人生を変えてきた人気テーブルマナー研究家が「世界のビジネスエリートの食べ方とふるまい」を通して、「マナーからにじみ出る教養」について説く本。各国の大使や国内外の要人らとの多くの会食から、著者が得た知見…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧