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「歴史に学ばない人」は危機を煽る

こういう状況では、「サイクルをリマインドする」ことをせず、「危機を煽る(あおる)」人が毎回出てきます。

 

一部メディアによると、「インフレを抑えるべく利上げに踏み切れば金融不安が高まり、一方で利上げ幅を抑えたり利下げに転換したりすればインフレ対策は後回しになる」ということで、「FRBはもう詰んでいる」という人がいるそうです。

 

FRBは詰んでいません。いまは利下げできますし、利下げすべきときです。理由は3つあります。

 

「いまは利下げすべきとき」といえる3つの理由

1.今後の実体経済にはディスインフレの圧力が生じます。銀行セクターの業績悪化見通しによって、今後は、銀行から家計や企業への与信が絞られることが予見できます。

 

借り入れとは、消費にせよ、設備投資にせよ、支出にほかなりませんから、それが止まることは景気=需要が鈍化することを意味します。

 

需要の鈍化は、生産=供給そして雇用を減らす方向に働きます。現下のインフレは、供給能力が低下するなかで、需要が強かったことから生じています。その需要が少なくない規模で収まるわけです。

 

2.仮に利下げによって高めのインフレ圧力が残るなら、むしろウェルカムです。なぜなら、企業も、(企業を支援する)連邦政府も、インフレによって実質債務残高を減らすことができます。また、需要の圧力が低迷し、雇用に調整圧力が生じているときには、インフレによって実質賃金は低下します。こうしたメカニズムを経て、雇用や設備投資、そして、企業は回復します。

 

3.そして、利下げを行えば、(債券の含み損が解消することを含めて)銀行の収支は回復しますし、銀行からの資金の借り手も投資をギブアップしなくても済みます。

 

上記1(=実体経済に生じるディスインフレの圧力)について補足すれば、[図表3]に示すとおり、現在、米国のマネー・サプライ(=中央銀行による貨幣の発行と、民間金融機関による信用の供与の合計)は、前年比でマイナスに転じています。

 

歴史をみればわかるとおり、過去しばらくなかったことです。インフレが問題であった1970年代は、マネー・サプライは高水準の伸びで推移しており、これが、当時と現在との違いです。

 

[図表3]米国のマネーサプライ・M2の前年比
[図表3]米国のマネーサプライ・M2の前年比

 

FRBによる貨幣発行や金融機関による信用は減少しており、[図表4]に示すとおり、貨幣と与信の減少はディスインフレ方向に働きます。言い換えれば、いまはインフレを心配すべきときではありません。

 

[図表4]米国のマネーサプライ・M2と消費者株価指数(いずれも前年比)
[図表4]米国のマネーサプライ・M2と消費者株価指数(いずれも前年比)

 

レイ・ダリオが強調するように、最後は必ず、「貨幣が発行」され、危機は収束します。質量保存の法則が働く世界において、貨幣こそ、唯一、世界に足せるリソースです。そして、それを行うのがFRBです。

 

「約80兆円」とたびたび報道される米銀の債券投資の含み損も、利下げ≒貨幣を発行すれば解消されますから、議論しても仕方ありません。

 

まして「FRBが詰んでいる」というのは、「大変恐ろしい言葉」です。たとえそれがどんな意味であっても使わないことをおすすめします。人を無用に怖がらせるだけです。そして、「信用や経済のメカニズム」を勉強するために、レイ・ダリオの動画をご覧になることをおすすめします。

※ How The Economic Machine Works by Ray Dalio(YouTube)

 

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