(※画像はイメージです/PIXTA)

SVB(シリコンバレー銀行)破綻の余波が影響するなか、FRBは、年内の利下げを否定。通常、さらなる利上げへ観測から円安が進むはずですが、米ドル/円は一時130円割れまで円高が進みました。いったいなぜなのか、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が解説します。

過去にあった「金融機関の経営破綻→利下げ」の流れ

金融機関の突然の経営破綻をきっかけにFRBが金融緩和へ急転換に向かった例として、1998年のケースがありました。大手ヘッジファンド危機を受けて、NYダウが約2割もの暴落となるなかで、FRBは3ヵ月連続利下げに動いたのです(図表7参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表7]NYダウの推移(1997~1999年) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

これによって金融危機を終息させることには成功しましたが、一方でその後1999年にかけて後からITバブルの株高と呼ばれた動きが広がったこともあり、この1998年のFRBの金融緩和への急転換は「バブル」を発生させた一因といった批判も上がりました。

 

当時と異なり、現在の米国ではインフレという問題が続いています。その意味では、金融システム不安がくすぶるなかでも、金融緩和への転換には1998年以上に慎重になる可能性が高いのではないでしょうか。これは、金利市場が早期の大幅利下げを織り込む動きとなっていることと大いなる矛盾と言えるでしょう。

 

以上からすると、「米金利低下=米ドル安」の動きには自ずと限界があると考えられます。

 

それを踏まえた上での今週の米ドル/円の予想レンジは128~134円中心で想定したいと思います。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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