単なる「ギャンブル」ではない株式投資
前回は、トリドール(3397)を例にとって、月次データをフォローすることの優位性をお話ししました。十分理解されたのではないでしょうか。なぜ月次を見ていると、こうもズバッズバッと株価が当たるのかを改めて整理してみます。
株価は本来、業績の先行きを反映して動くものです。もちろん、短期的には需給で動きますし、中期的にも売られすぎ、買われすぎを繰り返します。そのため、いくら好業績が続いたとしても、高いところで買えば儲けることはできません。
根本的に業績が良くなると世の中が思えば買われ、悪くなると考えれば売られるのが原理原則です。もっとも、中には株価の動きだけを見ていて、上がりそうだから買って、下がりそうだから売るというような投資法を行っている人もいますが、ここまでの流れでわかるように、大方は損をします。そのような人々は、株式投資について価格変動をうまく乗り切れば儲かる、単なるギャンブルと考えている人々です。
しかし、ここまでの解説からもわかるように、そんな投資方法では滅多に儲かりません。それでも、なかなかやめられないのは、そんなやり方でもたまには儲かるからです。そんなところは、まさに他のギャンブルと同じです。
株式市場の「業績の予測手段」はたくさんあるが・・・
そのような人々はさておいて、株式市場に参加する投資家の中でより賢い投資家は、株価は業績によって動くことを理解していますので、業績を正しく予測する手段を血眼で探していますつまり、そんな業績予測手段の一つが月次データということになります。
もちろん、月次以外にもたくさんの業績予測手段があります。いくつか例をあげれば、鉱工業生産や各業界の市況、業界ごとの生産や在庫など無限にあります。その中で、誰もが容易に入手でき、扱い自体もそれほど難しくない月次データは、個人投資家の業績分析の入門編としては最適ではないかと思います。
本来、これだけぴったり当たるのはおかしいのですが、それほど重宝なものでありながら、本気で月次データを見ている人が少ないのだろうと思います。たぶん、深く考えないで、出てくる数字を眺めている人が多いのでしょう。
読者のみなさんも自分のことを振り返ってみてください。今回、私がお話ししたようなことを実践しているでしょうか。もし、あなたがすでに月次を利用しているようなら、株式投資でウソみたいに儲かっていると思います。やっていないようなら、おそらくそれが世間の大多数の人だと考えていいでしょう。