(※写真はイメージです/PIXTA)

税務調査では、どのような会社が対象となりやすいのでしょうか。そもそも税務調査とはどのようなものなのか、調査の流れなどについても知っておきたいところです。税務調査を専門とする税理士法人松本が、税務調査の概要や実際の流れに加え、税務調査に選ばれやすい会社の特徴などについてわかりやすく解説します。

税務調査とは?簡単に説明すると…

税務調査には、大きく分けて「強制調査」と「任意調査」の2種類があります。それぞれの概要は以下の通りです。

 

■税務調査の大半を占める「任意調査」

毎年行われる税務調査のうち、そのほとんどは「任意調査」と呼ばれるものとなります。

 

「任意」と聞くと、調査に応じるかどうかを自由に決められる税務調査のような印象を持つかもしれませんが、実際には任意調査を拒否することはできません。任意調査自体は、対象者の承諾を得てから進められますが、対象者は税務調査に協力する義務(受忍義務)があるからです。

 

調査自体は、適正な申告がされているか、調査の対象者が間違った認識を持っている場合は指導を行い正しい申告・納税へ導くことが目的となります。

 

■「任意調査」の流れ

任意調査の流れは、概ね以下のようになります。

 

・準備調査

任意調査は「準備調査」と「実地調査」に分けることができます。準備調査では、調査前に税務署内で行われる「机上調査」や、倉庫や店舗などを外側から確認する「外観調査」、対象者を税務署内に呼び出して行う「呼出調査」などの種類があり、実際に訪問して調査を行う「実地調査」が必要かを判断する目的で行われます。

 

・実地調査

実地調査が決定すると、対象となった事業者へ調査を行うこと、事務所へ訪問する日時や調査する目的などについての簡単な説明が、電話などで事前に行われます。書類の準備などに数日程度余裕のある日程を指定されるのが一般的ですが、正当な理由があればある程度日程調整に応じてもらうことも可能です。

 

・調査当日の流れ

調査当日は調査員が2~3名で事務所を訪問し、調査の内容について改めて説明があります。代表者は同席して質問に答え、要求された資料は提出するなど、調査への協力が必要です。調査期間は2~3日程度で、午前10時前後から16時前後までなど、一般的な営業時間に行われることが多いでしょう。

 

なお、実地調査にも「一般調査」や「現況調査」などのほか、取引先への確認が行われる「反面調査」といった厳しい調査などの種類に分けられます。

 

■任意調査は比較的穏やかに進められる

概要でも説明した通り、任意調査は対象者が適正な申告、納税ができているかを確認し、必要に応じて指導する目的で行われるものです。調査を妨害したり、不正や虚偽をはたらいたりしていない限り、調査自体は穏やかに進んでいくケースがほとんどとなるでしょう。

 

なお、任意調査の中でも、事前の予告なく調査に訪れる「無予告調査」が行われる場合もあります。

 

通常の調査では判明しない点がある場合に行われることがあるものですが、無予告であっても任意調査であるため、受忍義務はありますが強制力はありません。「書類を準備したいから待ってほしい」「税理士が同席するので、到着してから調査してほしい」といった要望を出せば、いきなり調査されることはないでしょう。

 

■「強制調査」の概要と流れ

事前に承諾を得て進められる任意調査に対して、強制調査は予告なく、強制的に税務調査が行われます。

 

大口の脱税や悪質な不正行為が疑われる場合に、事前通知をして証拠を隠されたり、逃亡されたりするのを防ぐために、予告なく強制的に調査が行われるのです。

 

強制調査では、ある日突然複数の査察官が事務所へ乗り込み、調査に必要と判断される帳簿やデータ、パソコンなどが承諾なく押収されてしまいます。

「税務調査に選ばれやすい会社」の特徴3選

税務調査の大まかな流れや種類がわかったところで、税務調査に選ばれやすい会社の特徴についても、いくつかのポイントを以下に紹介します。自分の会社が当てはまるかどうか、項目ごとにチェックしてみましょう。

 

<①10年以上税務調査を受けていない>

税務調査は、通常会社を立ち上げて4~5年以内には一度調査対象となるのが一般的です。しかし、中には調査対象とならず「10年以上税務調査を受けていない」「開業してから何年も経つが、一度も税務調査が来ない」といった会社もあります。

 

こうした会社は、逆に言えばいつ税務調査がやって来てもおかしくない状態であるとも言えます。一度税務調査を受けて大きな問題がなければ、その後4~5年は調査対象となりにくいものですが、問題があれば毎年のように調査を受けるケースもあるため、調査を受けていない期間は1つの目安として考えるとよいでしょう。

 

<②所得率が低い、売上と経費のバランスが悪い>

税務署では、過去から現在に至るまで、膨大な申告に関するデータベースを保有しています。そのため、同業他社と比較して所得率が大幅に低い会社や、売上が急激に伸びているのに利益の低い会社、経費が急に膨らんだ会社などをピックアップして調査することができるのです。直近の申告で上記のような申告内容となっていた場合、不正やミスがなかったとしても、調査対象となる可能性は高まるでしょう。

 

<③特定の業種に該当する>

税務署では、申告内容と同様に「修正申告の件数が多い業種」についてもピックアップして把握しています。バーやスナックなどのいわゆる水商売や無国籍の飲食店、建設業やIT関連会社などはこうした業種に該当するため、小さな規模であっても、他の業種よりも調査対象となる可能性は高まるでしょう。

まとめ

税務調査には任意調査と強制調査があり、一般的に行われるのは任意調査となります。任意調査も準備調査と実地調査に分けられ、税務署内で行われる調査から取引先にまで及ぶ調査など、ケースによって様々な調査が行われます。

 

また、税務調査に選ばれやすい会社には一定の特徴があり、長期間調査を受けておらず、申告した数字に大幅な変化がある、特定の業種に該当するといった場合には、調査対象に選ばれやすくなるでしょう。

 

税務調査に選ばれやすい会社に該当するか不安な場合は、税理士へ相談するなどして、必要以上に怖がらず税務調査対策を進めることが大切です。

 

 

税理士法人松本

税務調査特化税理士法人として全国6ヵ所(渋谷、錦糸町、新宿、横浜、柏、大阪)にオフィスを構え、“成功報酬型”税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。
国税局に勤めていた、いわゆる「国税OB」が複数名所属。
税務調査相談実績は累計1000件以上。一般業種より税務調査が厳しいと言われる風俗業界の税務に10年以上特化し、追加徴税額ゼロ円の実績も多数。

※本記事は、税理士法人松本のブログより転載したものです。

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