無申告者「税務署から何も言われないし、大丈夫」→まさかの3年後、「追徴課税」へ…税務調査は「個人」も対象になる。知っておきたい対処法や注意点【税理士が解説】

無申告者「税務署から何も言われないし、大丈夫」→まさかの3年後、「追徴課税」へ…税務調査は「個人」も対象になる。知っておきたい対処法や注意点【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

個人事業主やサラリーマンであっても、税務調査がやって来る可能性はゼロではありません。税務署から税務調査の連絡が来た時に備えて、どのような対策を取っておくとよいのでしょうか? 税務調査を専門とする税理士法人松本が、税務調査対策のポイントや注意点に加え、税務調査となった場合に取るべき対処法などを解説します。

税務調査はいつ、どんな時に来る?

税務調査の連絡は、いつどんな時にやって来るのでしょうか。

 

■税務調査の連絡はいつ来るかわからない

税務調査の連絡がいつ来るのかについて、国税庁でははっきりしたデータを公表していないため、具体的な時期について知ることはできません。会社を立ち上げて3年目で税務調査になる場合もあれば、10年間で一度も税務調査を受けたことがないという事業者もいます。国税庁が発表している2021年(令和3年)事務年度の税務調査件数は、所得税が約3万1千件、消費税が約1万7千件、法人税が約4万8千件となっています。毎年多少の増減はあるものの、税務調査は一定以上行われており、法人や個人事業主はいつ税務調査の対象となってもおかしくないといえるでしょう。

 

■法人でなくても税務調査になるケースもある

「税務調査は会社に来るもので、個人には来ないのでは?」というイメージを持たれがちです。しかし、個人事業主やサラリーマンであっても、税務調査がやって来る可能性はゼロではありません。特にシェアリングエコノミーや海外投資、暗号資産(仮想通貨)の取引で得た利益などがある場合、国税庁では積極的に調査を行っていることを公表しています。そのため、適正な申告がされていない場合には、個人や給与所得者であっても税務調査の連絡が入る可能性は充分にあるでしょう。

 

■税務調査が来やすいとされるタイミングは?

税務調査の連絡がいつ来るのか、はっきりとしたことはわからないとはいえ、税務調査の連絡を受けやすかったり、実際に連絡が来る件数が増えたりするタイミングはあります。1~4月頃までは、確定申告の時期となるため、税務署は繁忙期を迎えており、調査件数は少ない傾向にあります。その後は人事異動のある7月以降から11月頃まで、調査件数が増える傾向にあるといわれています。また、税務調査で調査される期間は3年から5年、場合によっては7年まで遡って調査することが可能です。そのため、申告漏れや無申告があってもすぐに調査対象とはならず、数年ほど経って税務署から連絡が来る可能性もあります。「税務署が何も言って来ないから大丈夫なのかな」と油断していたら、3年後に税務調査となって追徴課税されるケースもあるのです。

税務調査対策で押さえたいポイント

もし税務署から税務調査の連絡が来た場合には、以下のポイントを参考にして、早急に対策を取るようにしましょう。

 

■過去5年分の帳簿や書類は見やすい場所へ整理しておく

税務調査の際、調査官からは必ず過去の帳簿やデータを見せるようにいわれます。決算書類やパソコン内のデータはもちろん、領収書や請求書などの書類も必要です。記帳した内容を証明する大切な書類は、過去5年分は遡ってチェックできるように見やすい場所へ整理して年月順に並べておくようにします。場合によっては、書類を税務署へ持ち帰ってもよいか確認されることがあるため、持ち帰られて困る書類があれはコピーを取っておくとよいでしょう。

 

■オドオドせず、毅然と対応する

税務調査の連絡や、実際に訪問を受けて調査されている時など、慣れない状況に緊張や不安を感じることも少なくありません。調査官も人間ですから、オドオドと挙動不審な態度を取ったり、曖昧な返事をしたりしていると、何か隠しているのではないかと疑いを強めてしまうでしょう。本来、適正な申告・納税が行われているのであれば、税務調査を怖れる必要はないものです。所得隠しや経費の水増しなどの可能性について仮に言及されていても、心当たりのないことは毅然とした態度で対応することが大切です。

 

■世間話のような会話で調査される場合も

税務調査では、実際に店舗や倉庫、会社のオフィスなどへ調査官が訪問(実地調査)をする前から、税務署で管理しているシステムやデータなどを基に不明な点について把握して連絡をして来るケースがほとんどです。「貴社ではXXの販売もされているのですか」「応接室の絵画が素晴らしいですね」など、一見世間話のような会話や質問から不明点のヒントを掴もうとしている場合もあります。税務調査と関連がなさそうな会話や質問であっても曖昧に答えたり、適当にごまかしたりすることはできるだけ避けた方がよいでしょう。

税務調査の目的を正しく理解する

税務調査というと「税金を余分に取られる」「重い追徴税が課せられる」「身に覚えのない脱税の疑いをかけられる」といったマイナスイメージを持たれがちです。しかし、税務調査の本来の目的は納税者が適正な申告と納税を行っているかを確認し、間違いがあれば適正に申告するよう導くことです。もし申告に修正すべき点や認識の違いがあれば、早い段階で気づいた方が安心だと理解し、税務調査に協力していく姿勢も大切です。

まとめ

税務調査はいつやって来るかはっきりとわからないため、急に税務署から連絡が来ると慌ててしまいがちです。確定申告で忙しい時期や、人事異動が始まる次期を除いた7月頃から調査件数が増えて来る傾向にはありますが、いつ税務調査になっても慌てない対策を取ることも大切です。書類は見やすく整理しておき、毅然とした対応で曖昧な返事や適当な対応は控えましょう。不安な場合は税務調査に強い税理士へ相談するなどして、早めの対策を取ることをおすすめします。

 

 

税理士法人松本

税務調査特化税理士法人として全国6ヵ所(渋谷、錦糸町、新宿、横浜、柏、大阪)にオフィスを構え、“成功報酬型”税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。
国税局に勤めていた、いわゆる「国税OB」が複数名所属。
税務調査相談実績は累計1000件以上。一般業種より税務調査が厳しいと言われる風俗業界の税務に10年以上特化し、追加徴税額ゼロ円の実績も多数。

 

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※本記事は、税理士法人松本のブログより転載したものです。

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