前回は、人の体内に吸収された「グルコサミン」の働きについて検証しました。今回は、グルコサミンと「長寿・アンチエイジング」との関係について見ていきます。

グルコサミン・コンドロイチンの摂取で死亡率が減少!?

近年では、グルコサミンとコンドロイチンの摂取が長寿に関係するという驚くべき研究結果も報告されています。2000年からアメリカのシアトルで行われた10年間にわたるコホート研究は、50歳から72歳までの計7万7673人に対して、次のサプリメントを摂取していた人と摂取していなかった人の死亡率を調査するというものでした。

 

•各種ビタミン

•ミネラル

•食物繊維

•ギンコ(イチョウの葉エキス)

•ニンニク

•魚油

•グルコサミン

•コンドロイチン

 

すると、他のサプリメントは死亡率に影響を与えなかったにもかかわらず、グルコサミンとコンドロイチンはともに死亡率を約17%も減少させたという結果が出たのです。この結果は発表当時、多くの研究者を驚かせました。

全身の健康維持に関与する「オートファジー」

また、最近では、グルコサミンのアンチエイジング効果にも注目が集まっています。私が6年間在籍していたアメリカのスクリプス研究所のマーチン・ロッツ教授のグループは、グルコサミンが生体内で「細胞内の自己たんぱく質を分解する作用(オートファジー)」を誘導し、関節の健康だけでなく全身の健康維持に関与しているという可能性を示しました。

 

マウスを使った動物実験では、グルコサミンをエサに入れたマウスの肝臓や関節軟骨にオートファジーが誘導されたという結果が出ています。オートファジーは、細胞内のアミノ酸を自らの栄養として再利用することから「自食作用(じしょくさよう)」ともいわれています。

 

そして細胞内の異常なたんぱく質の増殖を防いだり、細胞内に侵入した病原微生物を取り除いたりなど、体を健康に保つ働きもあります。これからさらに研究が進めば、グルコサミンが病気の予防や治療ばかりでなく、長寿やアンチエイジングなどにも役立つと期待されています。

 

これらの結果が示すように、グルコサミン・コンドロイチンは、まだまだ多くの可能性がある成分です。一般的な保存療法である運動療法と薬物療法、そして安全で副作用のない、かつ様々なメリットが期待できるサプリメントによる治療・予防策を組み合わせることが、これからの変形性膝関節症治療のあるべき姿になるのではないかと私は思います。

本連載は、2016年6月29日刊行の書籍『その痛みやこわばり、放っておくと危険! ひざに「! 」を感じたら読む本』から抜粋したものです。記載内容は予防医学の観点からの見解、研究の報告であり、治療法などの効能効果や安全性を保証するものではございません。

その痛みやこわばり、放っておくと危険! ひざに「!」を感じたら読む本

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橋本 三四郎

幻冬舎メディアコンサルティング

断続的に続く、ひざの違和感。 放っておくと歩けなくなるばかりか、将来寝たきりになるリスクもはらんでいます 。 本書では、ひざの違和感の正体を明らかにするとともに、9割以上の人が効果を実感しているマッケンジー・エ…

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