前回は、「グルコサミンとコンドロイチン」の安全性について検証しました。今回は、人の体内に吸収された「グルコサミン」の働きについて見ていきます。

2004に設立された「グルコサミン研究会」とは?

2004年、グルコサミンやその関連物質について医学、薬学、栄養学、獣医学、農学等の分野で新たなエビデンスを確立すべく、順天堂大学整形外科の黒澤尚教授を初代会長として、グルコサミン研究会が設立されました。

 

理事には日本大学整形外科の龍順之介教授、鳥取大学獣医外科学の南三郎教授、順天堂大学医学部の長岡功教授、現順天堂大学整形外科の金子和夫教授といった先生方が名を連ね、年に一度の学術会議を開いています。

 

私も2015年、第11回学術集会の大会長を務めさせていただきましたが、2016年からはグルコサミン以外の機能性食品にも研究を広げていくため、ファンクショナルフード学会と改名し、さらなる発展を続けています。

 

この研究会では、動物実験や細胞を使った基礎研究から実際の患者さんの臨床研究まで様々な報告がされてきました。その中で明らかにされたことは、口から摂ったグルコサミンは、組織内でアセチルグルコサミンに変換されて新たなプロテオグリカンの合成を促進するだけでなく、アミノ糖として様々な細胞に取り込まれ、細胞の機能や分化調節に役立っているということです。

各細胞に取り込まれた「グルコサミン」の働き

グルコサミン否定派の人の多くは、軟骨成分を摂っても、それが軟骨を作ることは考えにくいと言います。確かにコンドロイチン硫酸は分子量2万のムコ多糖ですから、そのまま吸収されて関節でコンドロイチンになることはなさそうです。

 

しかしグルコサミンは分子量200程度のアミノ糖であり、容易に腸管吸収されて血液中に移行し、各細胞に取り込まれることが分かっています。

 

関節軟骨細胞に取り込まれたグルコサミンは、ヒアルロン酸、プロテオグリカンやコラーゲンの産生を促進させますし、好中球(血液中の白血球の約半分を占める細胞)に取り込まれたグルコサミンは活性酸素産生等の炎症作用を抑制します。

 

また、血管内皮細胞に取り込まれたグルコサミンは動脈硬化を防ぐ働きをすることが知られていますし、皮膚細胞ではコラーゲン産生や水分保持に役立っています。

 

【図表 グルコサミンのはたらき】

 

本連載は、2016年6月29日刊行の書籍『その痛みやこわばり、放っておくと危険! ひざに「! 」を感じたら読む本』から抜粋したものです。記載内容は予防医学の観点からの見解、研究の報告であり、治療法などの効能効果や安全性を保証するものではございません。

その痛みやこわばり、放っておくと危険! ひざに「!」を感じたら読む本

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橋本 三四郎

幻冬舎メディアコンサルティング

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