老人ホームは入居条件も費用も介護サービスも大きく違う
ひと口に介護施設と言っても、下記の一覧表「介護施設の種類─運営主体、条件、特徴、費用の目安─」のようにさまざまな種類があります。運営主体や規模、内容が違うだけでなく、入居条件や費用などが大きく違います。
介護保険が適用される公的な施設には、少ない費用負担で長期入所できる「特別養護老人ホーム(特養)」をはじめ、介護と医療の両方を提供する「介護老人保健施設(老健)」や、老健より要介護度が高く長期の医療を必要とする人を受け入れる「介護療養型医療施設(療養病床)」などがあります。
ただし、前述したように「介護療養型医療施設」は2023年度末の廃止が決まっており、代わりの施設として「介護医療院」ができ始めています。
民間企業、社会福祉法人、地方公共団体、NPO法人などによって運営される地域密着型の「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」は、要介護5までの認知症の人が小規模な施設で共同生活を送る介護施設です。
軽費老人ホームは、A型・B型・C型があり、住宅や家族の事情などの理由で自宅で生活するのが難しく、かつ自分の身のまわりのことができるか要支援程度の60歳以上、あるいは要介護でも共同生活に適応できる65歳以上の人が入居する施設です。
ここでは、食事(B型は自炊)や生活支援サービスを受けることができます。運営主体は社会福祉法人や医療法人で、公的側面が強いこともあり、その名のとおり比較的安く生活できるのがメリットです。
主に民間企業が運営する有料老人ホームは、「介護付き有料老人ホーム」をはじめ、介護の必要がない人から要介護5の人まで幅広く入居する「住宅型有料老人ホーム」、介護の必要がない人を対象にした「健康型有料老人ホーム」、そして「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」などがあります。
「サ高住」には「一般型」と「介護型」があり、一般型で介護を受ける場合は、外部事業者による居宅サービスを利用します。介護型(特定施設)の場合は、担当の介護職員が介護サービスを提供します。
サ高住は自由度が高く、のんびりと老後を暮らしたい人におすすめの施設ですが、費用が高いのがネックです。
しかも、有料老人ホームのほとんどは「利用権方式」であり、何億円も払って超高級老人ホームに入ったとしても、入居者には所有権はありません。この点はぜひとも知っておいてほしい。当然、転売することも子どもに相続させることもできません。
また、基本的に自立の人を対象としている施設は、通常、介護が必要になると退去しなくてはいけないので、注意が必要です。