66歳・自営業夫の逝去。「厚生年金には途中から加入しました」専業主婦子なし妻、「遺族厚生年金ゼロ」の“悲劇”【社労士が解説】

66歳・自営業夫の逝去。「厚生年金には途中から加入しました」専業主婦子なし妻、「遺族厚生年金ゼロ」の“悲劇”【社労士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「遺族年金」というものを、本当に知っていますか? 遺族年金は非常に便利な制度ですが、認識を誤れば、支給されなくなってしまう可能性が大いにあります。遺族年金を受けられる条件について、特定社会保険労務士・社会福祉士の脇美由紀氏の著書『夫が、妻が、自分が、親が「まさかのときに備える」 知っておきたい 遺族年金』(ビジネス教育出版社)の中から一部を抜粋して紹介します。今回は、「寡婦年金」について。

▼遺族厚生年金は支給される

厚生年金の加入期間が短いため、遺族厚生年金が支給されるのかという不安があったようですが、 「厚生年金加入中の人が亡くなったとき」の要件に該当し、保険料納付要件も満たしていることから、遺族厚生年金が支給されます。しかし、厚生年金の加入期間が短いなら、短いなりの金額しか受けられないと思うでしょう。

 

このケースの場合、厚生年金の加入期間は約4年ですが、25年厚生年金に加入したとみなして遺族厚生年金が計算されます 。また、妻が40歳以上であれば、上乗せ加算(中高齢寡婦加算)があります。

 

〈相談事例2〉

夫は自営業でしたが、40年間国民年金保険料をほとんど納めておらず、免除申請もしていませんでした。62歳のときに初めて、知り合いの会社で働くようになり、厚生年金に加入したのですが、在職中の66歳のときに亡くなりました。私は専業主婦で子はいません。

 

遺族厚生年金は支給されない▼

このケースも 「厚生年金加入中の人が亡くなったとき」に該当しますが、保険料納付要件を満たさず遺族厚生年金は支給されません。亡くなった時期が65歳を過ぎているため、特例要件は使えず基本要件(3分の2要件)を満たす必要がありますが、未納期間が多く要件を満たすことは不可能です。

 

元気なうちに知っておきたいこと

保険料未納期間が多くても、直近1年間に未納がなければ保険料納付要件を満たすことがあります。しかし、特例要件(直近1年要件)は、死亡日が令和8年4月1日前にある65歳未満の人に限られます。

 

基本は3分の2要件を満たすことですから保険料を納めることが大切です。納付することが難しいようなら、きちんと免除申請を行いましょう。

 

夫が、妻が、自分が、親が「まさかのときに備える」 知っておきたい 遺族年金

夫が、妻が、自分が、親が「まさかのときに備える」 知っておきたい 遺族年金

脇 美由紀

ビジネス教育出版社

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