◆注意点1|無駄遣いに終わるリスクがある
第一に、単なる無駄遣いになってしまうおそれがあるということです。
よくあるのが、この特例を利用したいがためだけに、当面必要ないものを無理に購入してしまうケースです。
たとえば、パソコン、複合機等の事務用機器がまだ使えるにもかかわらず、無理やり買い替えたりしてしまうことです。
しかし、これをやると、税金が抑えられる以上に、購入代金相当額の分だけ、手持ちのキャッシュが流出してしまいます。
たとえば、300万円を支出した場合、法人実効税率30%で計算すると、税金は90万円抑えられますが、同時に、それも含めた300万円のキャッシュが流出してしまいます。
この300万円を支出しなければ、税金90万円を支払っても、手元にキャッシュが210万円残ります。
少額減価償却資産の特例を利用することや目先の税金を抑えることは、手段であって目的ではありません。決算期ぎりぎりでも可能であるからこそ、「税金を払いたくないためだけの無駄遣い」に陥っていないか、慎重に判断する必要があります。
おすすめなのは、近い将来行わなければならない備品等の購入・買い替えを多少早める場合に、特例を利用することです。
◆注意点2|「税込処理」と「税抜処理」とで経費算入できる金額が異なる
第二の注意点は、支払った消費税の経理処理の方法に応じて、経費算入できる金額が異なるということです。
すなわち、「税込処理」と「税抜処理」があり、いずれを採用しているかによって、経費算入できる金額が異なります。
「税込処理」の場合、消費税込みの代金額が「1個あたり30万円未満・総額300万円以下」の要件をみたす必要があります。
これに対し、「税抜処理」の場合、税抜価格が「1個あたり30万円未満・総額300万円以下」の要件をみたせば足ります。
「税抜処理」のほうが、消費税分を計算に入れなくてよい分、多くの額を経費に算入できます。
まとめ
少額減価償却資産の特例は、一気に300万円まで経費計上でき、しかも、決算期ぎりぎりでも間に合うという特徴があります。
しかし、だからこそ、一歩間違えば、単なる経費の無駄遣いになってしまうリスクもはらんでいます。
少額減価償却資産の特例等の制度を利用して税負担を抑えることは、会社の資産を守り、増やしていく手段であり、それが自己目的化することはくれぐれも避けなければなりません。
その見地からすれば、少額減価償却資産の特例が最も適しているケースは、近い将来に予定されていた備品の購入を多少早める場合であるといえます。
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