「社長のベンツは4ドア!」経費の判定に車種、ドア数は関係ありますか?【元国税専門官が解説】

「社長のベンツは4ドア!」経費の判定に車種、ドア数は関係ありますか?【元国税専門官が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「4ドアのベンツで節税」という言葉が世の中に出回っているので、気になる人が多いと思います。経費の判定に車種やドア数は関係ありません。元国税専門官の小林義崇氏が著書『あんな経費まで! 領収書のズルい落とし方がわかる本』(宝島社)で解説します。

固定資産で経費を一括計上できる金額は?

■車の価格に注目して経費を計算

 

Q:小さな飲食店を会社で経営しています。宅配のための車の購入を検討中です。経費計上の方法で正しいものはどれでしょうか?

 

①新車を100万円で購入し、経費を一括計上した
②4年落ちの中古車を100万円で購入し、経費を一括計上した
③耐用年数が過ぎていたため、30万円の中古車の購入費は経費計上しなかった
④知人から車を無償で譲りうけたため、経費計上しなかった

 

答え:②

 

4択クイズを考えながら、自動車や家賃の経費化について細かいルールを学んでいきましょう。

 

①は購入金額が100万円であり減価償却が必要です。経費を一括計上することはできません。

 

固定資産で経費を一括計上できるのは、基本的には10万円未満の場合です。例外的に、青色申告の人は、少額減価償却資産の特例を使って30万円未満の固定資産を一括で経費にできますが、30万円以上のモノを買うと必ず減価償却の計算を行います。

 

次の②は4年落ちの中古車です。定率法で計算すれば1年で残存簿価の1円を除き全額を経費にできます。

 

③は勘違いをしやすいポイントです。

 

たとえ耐用年数を過ぎた中古の固定資産でも、減価償却の計算をして経費計上できます。

 

耐用年数の全部を経過した固定資産の場合、「耐用年数の20%に相当する年数」を、その固定資産の耐用年数にします。この計算の結果で1年未満の端数があるときは端数を切り捨て、年数が2年未満の場合は2年とします。

 

普通車の耐用年数は6年ですから、6年以上経過した中古車を買ったときは、次のように耐用年数を計算してください。あとは、その耐用年数に基づいて減価償却の計算をすれば、経費を計上できます。

 

【6年以上経過した車の耐用年数】

新車の場合の耐用年数6年×20% ≒1年

1年<2年

→耐用年数は2年

 

④のように無償で譲り受けたものでも、経費にできます。

 

 

この場合、車の贈与者の減価償却費を引き継ぎます。贈与者から車の購入年月日や購入価額などを確認して、それらの情報をもとに減価償却の計算をしてください。「タダでもらったから経費にできない」と思い込んでいたら、損をしてしまいます。

 

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※本連載は小林義崇氏の著書『あんな経費まで! 領収書のズルい落とし方がわかる本』(宝島社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

あんな経費まで! 領収書のズルい落とし方がわかる本

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宝島社

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