5.企業業績と株式
<現状>
S&P500種指数の2月の予想1株当たり利益(EPS)は227.3で、前年同月比▲0.9%(前月同+0.2%)と21年1月以来のマイナスとなりました。一方、TOPIXの予想EPSは155.6、伸び率は同+5.8%(同+7.7%)でした。米国では1日のFOMCで利上げ幅が0.25%に縮小されたこととパウエルFRB議長が会見で「ディスインフレのプロセスが始まった」などと述べたことから長期金利が低下し、米国株式市場は堅調となりました。しかし、3日に発表された1月の雇用統計で労働市場の強さが示されると、利上げ継続懸念の再燃から長期金利が上昇し、米国株式市場は軟調な展開に転じました。NYダウは前月比▲4.2%、S&P500種指数は同▲2.6%、NASDAQ総合指数は同▲1.1%でした。日本株式市場は伸び悩みましたが円安・ドル高が進んだことが下支えとなりました。米国の利上げ継続懸念に加え、次期日銀総裁候補である植田和男氏が現在の金融緩和政策を当面続ける見通しであることから日米金利差が拡大したことが背景です。日経平均株価は前月比+0.4%、TOPIXは同+0.9%でした。
<見通し>
S&P500種指数採用企業の22年10-12月期の増益率(純利益ベース)は前年同期比▲3.2%、除くエネルギーセクターで同▲7.4%でした(2月24日。リフィニティブ集計で進捗率93%)。続く23年1-3月期は前年同期比▲4.3%、4-6月期は同▲3.5%と、先月の見通し(それぞれ同▲1.2%、同▲2.0%)から下方修正となりました。除くエネルギーセクターも1-3月期が同▲6.2%(先月同▲2.9%)、4-6月期が同+0.7%(先月同+2.2%)と下方修正となりました。一方、TOPIX採用企業の22年10-12月期の純利益は前年同期比▲22.7%となりました(3月1日。3月期決算企業で除く金融、QUICK集計で進捗率99%)。売上高は同+16.2%、営業利益は同+4.8%でしたが、為替差損の発生に加え、電力会社などの大幅赤字が影響しました。続く23年1-3月期は電気・ガス業や陸運業、空運業などの黒字転換も予想されるなど非製造業がけん引し、TOPIX採用企業の業績は回復傾向を強めると期待されます。日米株式市場ともに業績の底入れ時期が注目されます。