投資先を分散すべきワケ
それではどんな投資信託に投資するのがいいかということになりますが、理想をいえば、同じ投資先ののり巻きを1本持つのではなく、例えば、日本の株式、外国の株式、日本の債券、外国の債券というように4本に分散して持つことです。
経済成長をけん引するのは株式です。今後、世界の経済が時間をかけながらもじっくり成長していくと思うのであれば、株式に投資するとリターンが期待できます。
しかし、予期せぬ戦争が起こるような時代です。株価が暴落する可能性もなきにしもあらずです。未来は誰にもわかりません。そんなときに、債券を組み合わせて持っておくと、資産の目減りを小さくすることが可能です。
過去の例でいえば、リーマンショックで株価が大暴落したときでも、日本の債券はプラスに転じました。つまり、投資信託で投資先を分散させるのは、国内外の株式、国内外の債券をバランスよく組み合わせることでリスクを分散しながら、利益確保を狙うということなのです。
そこで、投資ビギナーにおすすめなのが「バランス型」という商品です。
自分でのり巻きをチョイスして複数本持つことも可能ですが、「バランス型」は、あらかじめ複数の投資先に分散して1本の商品で販売しているタイプの投資信託です。「4資産均等バランスファンド」というものであれば、4つの資産(国内外株式、国内外債券)に均等に配分されていることを意味します。
他にも、8資産バランスファンドなどもあります。
自分で投資信託を何本か組み合わせて運用するより、プロにお任せしたいという人は、こうしたシンプルな商品をチョイスするのもよいでしょう。
国のお墨付き。「iDeCo」と「つみたてNISA」
それでは実際にどのように運用していくのがよいのでしょうか。
まず、投資の基本について、あらためてまとめておきます。
投資は、お金を株、債券、投資信託などの金融商品に換えて長期保有することで利益を得ることを目的としています。投資にギャンブルのイメージを持たれるのは、おそらく短期的な価格の変動で利益を得る「投機」と混同しているからでしょう。
もちろん、投資にまったくリスクがないわけではありませんが、これから紹介するのは、投資のなかでも比較的安全な方法になります。
それが、手間をかけず時間をかける「長期・積立・分散」投資です。
長期、積立、分散という視点から金融商品を選ぶことで限りなくリスクを抑えられるうえに、少ないお金でもはじめられる投資方法になります。
この「長期・積立・分散」投資を、初心者でも安心してはじめられるのが、国が用意しているふたつの制度です。