家賃代わりに不動産を購入する
ここ1〜2年でドバイの不動産価格が20%ほど上昇しましたが、その理由は世界中の富裕層がドバイに移住してきているからです。
ドバイでは今、大規模なコンドミニアムやホテルレジデンスが建設ラッシュですが、高級な物件ほど値段が上がっています。これは投資用の不動産が売れているからというよりは、富裕層が自分達が住むための物件を買っているためで、その件数が急激に増えたから価格が上昇しているのだと現地の不動産会社の方が教えてくれました。私も移住に際して自分が住むための不動産を取得しています。
ドバイの不動産事情は日本とは少し違っていて、ほとんどの人が住宅ローンを組みません。現金一括で購入するか、もしくはデベロッパーの用意した分割プランで購入します。小さめの物件(といっても一等地ではワンベッドルームでも6000万円から1億円くらいしますが)の価格帯の場合は2年分割が主流で、もっと大きな物件になると5年分割だったりします。
分割払いでは、最初に25%を支払い、鍵とオクードと呼ばれる権利書みたいなものをもらいます。あとは半年ごとや3ヵ月ごとに、分割で支払うための小切手をデベロッパーに渡します。期日までに小切手を発行した銀行に入金しておかないと、小切手は不渡りとなり、以前の法律ならば逮捕、今の法律では、物件を没収されてしまいます。
ちなみに私も、先に述べた通り5年分割で購入した不動産で、最初の頭金を支払ったところでコロナ騒ぎでシンガポールに入国できなくなり、2回目の小切手が不渡りとなってしまいました。このときはコロナという特別な事情があったため、遅延金を支払うことでなんとか許してもらって、半年遅れで分割金の支払いも終えました。
ドバイの不動産は自分が住みながら金利なしで分割払いができるので、家賃を払うよりお得感があります。数年後売りに出せば、買った値段と同じか場所がよければ10〜20%増しで売れるので、購入して家賃代わりに分割支払いをし、完済した後に売ることで住宅費用を実質無料にできます。だから、賃貸よりも購入した家に住む富裕層が多いわけですね。無料で住むために不動産を購入しています。
また、富裕層たちは家族が住む家や別宅など含め、数軒の不動産を購入しているのが当たり前のようです。私の友人の富裕層たちもみんな2〜3軒の不動産を所有しています。ですがこれも投資としてという見方はしていません。自分が住む家と家族用の予備といった認識です。
中には小さな物件を複数購入してAirB&Bなどで貸している人もいますが、大富豪といわれる類の方の多くは、投資のために不動産を買いません。ドバイにはもっと割のいい投資がたくさんあるため、すぐに現金化できず、いつ上がるかわからない不動産に投資する必要がないのです。