顧客のの潜在意識に働きかける心理学的スキル
■依頼するトークの中にも、心理学的スキルを盛り込む
顧客から知り合いの人を紹介してもらうには、顧客から信頼される営業になっていることが第一条件です。
「顧客からの信頼」を得るには、顧客のニーズに着実に結果を出し続けていることや人柄に好感を持たれることなどがカギだということはすでに述べたとおりです。そうした営業になっていることが前提として、次のように依頼するようにします。
「私の営業活動はほとんどがご契約者様からの紹介で成り立っています。〇×様の周りには信頼できる方が多いと思いますので、どなたかおひとりでいいのでご紹介をいただけませんでしょうか? 必ず誠実に対応させていただきます」
実は、この依頼の仕方には、様々な心理術が埋め込まれています。例えば、
「ほとんどがご契約者様からの紹介で成り立っています」
の部分が「社会的証明」です。多くの方がそうしてくれているということを暗黙のうちに相手に伝えることになり、相手の脳内では、
「そうか、多くの人が紹介をしているのか」
と考え始めます。
「〇×様の周りには信頼できる方が多いと思います」
の部分は「ラベリング効果」です。相手は自分が信頼している知人、友人、人脈を探すようになります。
そして、「私の営業活動はほとんどがご契約者様からの紹介で成り立っています。〇×様の周りには信頼できる方が多いと思いますので」
までが「理由」になります。理由があることで依頼を承諾しやすくなります。
また、「どなたかおひとりでいいので」
と小さな依頼、つまり「フット・イン・ザ・ドア」を使っています。
この依頼の仕方は、営業心理術を理解してもらうために少々デフォルメしていますが、単刀直入に「知り合いの方を紹介いただけるとありがたいです」とお願いするだけでなく、お客様の潜在意識に働きかけられる心理学的スキルを常日頃営業トークで使う習慣を身につけてほしいという思いをここに込めています。
こうした営業トークが自然にできるようになれば、プロ営業の域に達していることになりますが、そこに至るには心理学的スキルを実践の場で繰り返すことです。
私自身、セミナー講師として全国各地からお招きを受けるようになるまで、これらの心理学的スキルを意識して使って、新規開拓につなげてきました。
また、私の場合、営業トークに加えて、「紹介チラシ」を用意しました。
自己紹介、私が提供できるサービス、実績、お客様の声、連絡先などを記載した「紹介チラシ」をお渡しし、「ご紹介いただけそうな方にこれをお渡しいただけると嬉しいです」と笑顔で一言添えるようにしています。
お客様から「紹介したい!」と思われる方法を考える
酒井 とし夫
マーケティング・コンサルタント