「低所得・低物価・低金利・低成長」でお先真っ暗だが…日本がそれでも「円安」のメリットを最大限に生かせる方法

「低所得・低物価・低金利・低成長」でお先真っ暗だが…日本がそれでも「円安」のメリットを最大限に生かせる方法
(※写真はイメージです/PIXTA)

円高・円安は、消費者にとってどのような影響を与えるのでしょうか。いままで通り頑張って働いているのに生活が苦しくなってきた会社員の「円やすお」氏と、エコノミストの「永濱利廣」氏とともに、円高・円安が日本経済に与える影響について見ていきましょう(永濱利廣氏の著書『給料が上がらないのは、円安のせいですか?』(PHP研究所)より)。

ドル円レートの平均は1ドル109円

やすお:では、円は対ドルで考えると、いくらぐらいが適正なのでしょうか?

 

永濱:これはいろんな見方がありますね。

 

先ほどお話ししたように、90年代後半~最近までのドル円レートを平均すると、1ドル=109円程度です。ただ、少なくとも日本政府が望ましいと考える為替の水準は、だいたい100〜130円の間と見られます。

 

やすお:なぜ100~130円なのでしょうか?

 

永濱:過去の為替介入のタイミングを見ると、その枠の中から外れたときに行ってきたからです。

 

為替介入とは、為替レートが適正ではないと考えられるときに、通貨当局が適正に近づけるように市場に介入することです。

 

たとえば、円が安くなりすぎたときは、円高に誘導するために、市場で円を買います。これが円買い介入です。逆に、円高になりすぎているときは、円売り介入を行います。

 

やすお:日本では円買い介入も円売り介入も行われていますか?

 

永濱:過去を振り返ると、両方行ったことがあります。最後に円売り介入をしたのは、2011年11月で民主党政権のときでした。

 

円買い介入は、1998年に実施してからしばらくしていませんでしたが、2022年の9月から10月にかけて24年ぶりに実施しましたね。

 

今回の円買い介入以前に行われた円買い介入のときの為替と、円売り介入のときの為替の平均水準を計算すると、だいたい円買い介入のときは130円程度、円売り介入が100円程度のときでした。

 

やすお:先日、円買い介入を行ったときは、1ドル140円を超えていましたよね?

 

永濱:過去の政策当局の行動から考えると、とても容認できる範囲ではなかったということでしょう。

 

鈴木財務大臣や日銀の黒田総裁が「急速な円安は日本経済にとってマイナス」と言い始めていたのですが、それは「そのまま放置するわけにはいかない」という意味だったのでしょう。

 

やすお:為替介入はどうだったんですか。うまくいったのか、いかなかったのか。

 

永濱:私は介入した成果はあったと思っています。ただ、介入だけで為替をコントロールすることはなかなか難しいのです…。

 

 

永濱 利廣

第一生命経済研究所

首席エコノミスト

 

給料が上がらないのは、円安のせいですか? 通貨で読み解く経済の仕組み

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永濱 利廣

PHP研究所

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