「低所得・低物価・低金利・低成長」でお先真っ暗だが…日本がそれでも「円安」のメリットを最大限に生かせる方法

「低所得・低物価・低金利・低成長」でお先真っ暗だが…日本がそれでも「円安」のメリットを最大限に生かせる方法
(※写真はイメージです/PIXTA)

円高・円安は、消費者にとってどのような影響を与えるのでしょうか。いままで通り頑張って働いているのに生活が苦しくなってきた会社員の「円やすお」氏と、エコノミストの「永濱利廣」氏とともに、円高・円安が日本経済に与える影響について見ていきましょう(永濱利廣氏の著書『給料が上がらないのは、円安のせいですか?』(PHP研究所)より)。

 

 

円安の恩恵を最大限に生かす

やすお:今の日本は、「低所得・低物価・低金利・低成長」の4低の状態に陥り、構造的に円安の恩恵が受けられなくなっているわけですね。お先、真っ暗じゃないですか…。ぼくたちはこれからどうしたら…。

 

永濱:やすおさん、何事にもデメリットがあれば、反対にメリットはありますよ。私は、この円安を良い悪いと論じるより、日本政府がこの円安のメリットを最大限に生かすべきだと考えています。

 

たとえば、生産拠点の国内回帰や誘致をもっと推進すれば、地方経済が潤い、国内から輸出が増えるでしょう。そうなれば、自然と円安は進みにくくなります。

 

やすお:それは良いですね。

 

永濱:よく「日本は、アメリカのように、IT系のスタートアップがどんどん出てこないからダメだ」みたいなことを言う人がいます。

 

もちろん、IT系のスタートアップを増やすのも重要でしょう。しかし、その国の国民性に合った得意分野があると思うのです。

 

たとえば、アメリカはITや金融といった分野の企業が強い反面、モノづくりはそこまで得意ではありません。一方、日本はモノづくりにおいては、今でも非常に優秀だと思います。新興国が安い人件費で台頭してきたのに、いまだに自動車や機械産業は世界のトップ層にいます。

 

やすお:確かに。なんだかんだいっても健闘していますよね。

 

永濱:せっかく得意な分野があるんだから、そこを伸ばしていく。生産拠点を国内に増やすことはその一つといえるでしょう。

 

その他にも、安全な原発を再稼働したり、国内のエネルギー効率を上げたりして、化石燃料の輸入を減らせます。

 

食料自給率も低いので、少し国内の農業の生産性を高めることも必要でしょう。たとえば農地法の改正をして、株式会社が農地を自由に取得できるようにして農業の生産性を上げるべきでしょう。

 

このように、国内自給率を高めていくような政策を取るのが望ましいと私は考えています。

円安も円高も、行き過ぎは良くない

永濱:もう一つ日本政府がしなければならないことは、行き過ぎた円安を抑えることです。

 

円安になったからといって、皆にプラスになるわけではありません。円安が行き過ぎると、大ダメージを受け、バンバン倒産する企業が出てくる可能性もあります。また、今のように、物価が上がって、生活が苦しくなる人も出てきます。

 

やすお:そうなんですよ。それはそれでマズい。

 

永濱:かといって、急激に円高になるのもよくありません。円高になれば海外でモノが売れなくなり、企業の業績が下がりますし、株価や不動産価格も下がります。

 

残念ながら、日本経済の停滞は深刻で病人みたいなものです。ここで利上げをして無理やり円高にするのは、病人に筋トレをさせるようなものです。下手したら、死んでしまいます。

 

それよりも、病人に必要なのは栄養摂取による回復です。すなわち、金融緩和を維持しながら円安で潤っている財政を活用して景気を支えることです。増税のような筋トレは、負荷に耐えられるような体力をつけた先にある話なのです。

 

やすお:なるほど。何事も段階があるってことですね。

 

永濱:その通り。為替レートは極端なショック療法を必要とする状況、つまり行き過ぎた円高も円安も良くなくて、心地いい水準があるのです。

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給料が上がらないのは、円安のせいですか? 通貨で読み解く経済の仕組み

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永濱 利廣

PHP研究所

なぜ、今まで通り頑張っているのに、豊かになれないのか。 その構造的な欠陥が、わかります! 私たちの給料が低いのは、円安のせいなんでしょうか? いえ、違います。「物価が低いまま」だからです。 この答えに対して…

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