「食料とエネルギー」にお金がかかる日本とEU
永濱:あと、これは日本の宿命なのですが、日本は家庭の消費支出に占めるエネルギーと食料の割合がどうしても多くなってしまいます。両方合わせて消費支出の3割以上を占めています。
やすお:他の国は違うのですか?
永濱:アメリカはその半分以下です。エネルギーと食料品が占める割合は1割強しかありません。国内でシェールガスが取れますし、穀物もたくさん取れるので、収入と比較して安く手に入ります。だから、その分、他のことにお金を使えるわけです。
やすお:なんと! ゲームの初期設定で差がついているのか。
永濱:ちなみにEU(欧州連合)の国々も、消費支出に占める食料とエネルギーの割合は4分の1ぐらいあります。日本よりは若干低いですが、アメリカより圧倒的に多い。
日本やEUの国々は、消費のうち4分の1以上を食料とエネルギーに費やさないと生きていけませんが、アメリカは違います。それだけアメリカは豊かということです。
円高だと輸入品やエネルギー価格が下がる
永濱:でも、円安は、消費者から見ても悪いことばかりではないんですよ。
為替が動くと、輸出や設備投資が増えたり減ったりするので、そこで働く人の雇用が増えたり減ったり、お給料が増えたり減ったりといったこともあります。
円安の場合は国産品が売れやすくなるので、雇用が増え、給料も増えやすくなります。
やすお:円高だとその逆、雇用が減って給料が減るのですか?
永濱:そういう面もあります。しかし、円高には良いこともあります。たとえば、輸出商品の売上が減る一方で、輸入商品が安くなります。エネルギー資源も安く仕入れられるので、電気代などの光熱費も下がりやすくなります。
また、円高であれば円安のときよりもより多くの外貨に両替できるため、海外旅行に行きやすくなります。
何事にも一長一短はあるものです。
永濱 利廣
第一生命経済研究所
首席エコノミスト