「売買成立件数」はリーマンショック直前と同様に下落
今年1月の売買成立件数は1,438軒、これは2008年1月、リーマンショック直前の1,425軒とほぼ同じです。売買件数がピークに達した2021年の6月が4,119軒でしたので、19ヵ月間で売買成立件数が約65%下落したことになります。また前年同月比では約37%下がりました。
例年、年初めは売買成立件数が下がる傾向にありますが、住宅ローンの高金利が続いていることが影響して買い手の購買力や意欲が抑えられた結果となり、売買成立物件数に影響が出たと考えられます。
価格の高騰は落ち着くも、今後また大きく下がるのか?
最近特に「今後不動産価格が大きく下落するのでは?」という声を耳にします。では物件売り出し価格に対して実際に物件が売れた価格の割合をみていきましょう。
たとえば売り出し物件価格がUS$500,000(**5,000万円)で、最終的に物件がUS$500,000(**5,000万円)で売れた場合を100%とします。2022年4月は106.2%でした。つまり売り出し価格より6.2%高く売れたことになります。2023年1月は97.3%でしたので、実際には売り出し価格より約2.7%低い金額で売却されたことになります。
これはコロナ前の2019年1月の97.2%とほぼ同じです。最近はコロナ禍で起きた異常な住宅価格の高騰が落ち着いてきており、以前の不動産市場に戻ってきたというのが実感としてあります。この状況は果たして今後、価格の大幅な下落に繋がっていくのでしょうか?
不動産市場予測の指標:カリフォルニア州の失業率
今後の不動産市場を予測するには、失業率も大切な情報となります。アメリカ全体の失業率が2022年12月において3.5%であったのに対して、カリフォルニア州は4.1%でした。
もちろん、カリフォルニア州のなかでも、カウンティによって失業率にばらつきがあります。昨今ビッグテックカンパニーが相次いで従業員を解雇しているというニュースが話題になっています。
たとえばホームオーナーが住宅ローンを払えない状況に陥った場合、現在の住宅市場では家を売却すれば、かなり多くの方々が売買益を得ることができるといわれています。そういう方々は家を売却して州外に引っ越す、または、同じカリフォルニア州内で住宅価格の比較的低い地域に引っ越すという現象も起こってきています。今後の失業率が住宅市場に大きな影響を与えることは間違いないでしょう。
住宅価格のクラッシュは2023年に起こるのか?
多くの専門家はリーマンショックのような住宅価格のクラッシュは起こらないと予測しています。理由としては
2)全米不動産協会のデータによると、市場に出ている売り物件の数が約2.7ヵ月分の供給在庫。つまり住宅供給不足の状況である。リーマンショックのときのように住宅供給過多ではないことから住宅価格の大幅な下落は起こらない。
などが挙げられています。
今後も住宅価格に大きな影響をおよぼすであろう失業率、住宅ローンの金利の動きが気になるところです。住宅の購入、売却をお考えの方は、不動産市場を把握した経験のある専門家に相談し、ご自身の状況を踏まえながら進めていくのが望ましいと思います。
Sources: NAR, Redfin, U.S. Census Bureau, Zillow, Yardi Matrix, FreddieMac、ATTOM Data
石橋 由美子
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