(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資の空室対策には、リフォームや家賃の値下げなどの様々な方法があります。しかし、不適切な手段をとってしまうと、利回りが低下したり、既存入居者の退去につながったりする可能性があるので注意が必要です。

そこで今回は、不動産投資でやってはいけない空室対策や見るべきポイントも紹介します。不動産投資に失敗したくない方は、ぜひ参考にしてください。

 

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不動産投資でやってはいけない空室対策4選

不動産投資でやってはいけない空室対策としては、主に以下の4つがあります。

 

1. 費用が回収できないリフォーム

2. 家賃を下げる

3. 入居条件を緩和する

4. 既存入居者に不満を持たせる対策をする

 

不動産投資の空室対策に失敗すると、賃貸経営に大きな影響を及ぼす可能性があるので、慎重に判断しなければなりません。ここでは、やってはいけない空室対策を詳しく解説していきます。

 

■費用が回収できないリフォームをしてはいけない

費用回収が見込めないリフォームをした場合には、新規入居が決まっても利回りが下がってしまう可能性があります。

 

たとえば、家賃が月額6万円の物件で、キッチンや水回りのリフォームに300万円かけた場合、リフォーム費用の回収に4年以上かかります。さらに固定資産税や、修繕費などの維持費を考慮すると、投資金額に対する利回りを大幅に下げてしまうでしょう。

 

リフォームを検討する際は、費用回収の見込みや入居者のニーズを考えておくことが重要です。

 

■家賃を下げてはいけない

家賃値下げは、空室対策として有効な手段ですが、利回りが下がってしまうので注意が必要です。利回りが下がると、不動産購入時に見込んでいた利益が得られずに賃貸経営に大きな影響を与えてしまいます。

 

また、地域相場を無視した家賃に設定すると、近隣の賃貸物件との価格競争が激化するリスクも上がります。その結果、より安い物件を求めた既存入居者が退去してしまうケースも考えられるでしょう。

 

■入居条件を緩和してはいけない

空室対策には、ペットや単身高齢者、外国人などの入居条件を緩和する手段がありますが、設備の破損や近隣トラブルにつながるケースがあります。入居者同士のトラブルに発展すると、既存入居者が退去してしまうリスクがあるので注意しましょう。

 

なお、入居条件を緩和する際は、ペットによる破損や汚損などに対応できるよう、賃貸借契約書に特約を記載し*、入居前に説明しておくのがおすすめです。また、既存入居者への事前説明も忘れずに行いましょう。

 

*ご参考:国土交通省『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)』-P25「別表3契約書に添付する原状回復の条件に関する様式」

 

■既存入居者に不満を持たせる対策をしてはいけない

空室対策を目的として、一部区画のリフォームや家賃値下げを行うと、既存入居者に不満を持たせてしまいます。空室対策が原因で退去されると、空室率が上がり、対策を講じた意味がなくなります。

 

空室を埋めることも大切ですが、既存入居者へのヒアリングを行い、まずは住みやすい環境をつくることが重要です。

空室対策をする際に見るべきポイント

空室対策で失敗しないためには、やってはいけないことを踏まえた上で、見るべきポイントを押さえることが重要です。ここでは、空室対策をする際のポイントを3つ解説します。

 

■入居者のニーズ

不動産の立地や物件種別によって、入居者の性別や所得水準、物件に求める条件が異なります。そのため、ターゲットに合わせたリフォームや家賃設定をしなければ、不適切な空室対策となってしまうので注意しましょう。

 

たとえば、学生入居者が多い地域では家賃が安い方が需要があるため、リフォームを行い、賃料を引き上げた場合は新規入居者が減ってしまうケースが考えられます。また「ペット可」などの入居条件を新たに設定すると、既存入居者の不満が高まってしまうでしょう。

 

無駄な費用と手間をかけないためにも、まずは入居者のニーズを把握し、適切な空室対策を取ることが重要です。

 

■物件設備

物件設備の見直しも空室対策に有効的です。物件設備が古かったり使いにくかったりする場合は、リフォームを検討しましょう。ただし、先述したニーズ調査を行わずにリフォームすると、無駄な費用がかかるだけでなく、既存入居者の不満を持たせてしまう原因になるので注意が必要です。

 

リフォームする際は、周辺の類似物件の設備と比較しながら、どういった設備が必要であるかを確認した上で行いましょう。

 

■不動産業者

物件に空室がある原因には、不動産業者の広告や募集が不十分であることも考えられます。

 

募集方法に不満があったり、入居が決まらなかったりする場合は、複数の不動産業者に募集してもらうのもよいでしょう。ただし、不動産業者との媒介契約によっては、契約違反となるので注意が必要です。

 

媒介契約には、一般媒介契約と専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。一般媒介は複数の不動産業者に募集を依頼できますが、専任媒介契約と専属専任媒介契約は1社としか媒介契約を結べません。

 

専任媒介契約と専属専任媒介契約は、募集状況の報告が行われ、積極的な募集活動が見込まれるなどのメリットがあります。ただし、不動産業者選びを間違えると新規入居が決まらない状況が続いてしまうので注意が必要です。

 

信頼できる不動産業者がいない場合は、一般媒介契約で複数社と契約し、長期的に付き合っていきたい業者を見つけた上で、専任媒介契約などを結ぶとよいでしょう。

まとめ

不動産投資の空室対策には、リフォームや家賃値下げなどの様々な方法がありますが、不適切な手段をとってしまうと、キャッシュフローの悪化につながります。対策方法によっては、既存入居者の退去や利回りの低下につながり、不動産投資を続けられなくなってしまいます。

 

不動産投資で大きな失敗をしないためにも、本記事で紹介した「やってはいけない空室対策」と「見るべきポイント」を確認しながら、適切な空室対策を実施しましょう。

 

 

執筆:東本 隼之

ファイナンシャルプランナー(AFP・2級FP技能士)、マネーライター

独立系ファイナンシャルプランナーとして執筆業を中心に活動中。金融記事を中心に300記事以上の執筆・編集・監修を担当。税金・社会保険・資産運用・生命保険・不動産・相続分野を得意とし、自身の経験に基づいたライティングを強みとしている。難しい金融知識を初心者にわかりやすく伝えることが得意。

 

 

監修:悠木 まちゃ

ライター・編集者

宅建士・FP3級の資格保有。国立校の建築学科を卒業後、ハウスメーカーに勤務し、営業・設計職を担当。新築戸建て住宅のほか、事務所建築や賃貸アパートの設計などを手掛ける。

その後、2019年よりフリーライター・編集者として活動。実務経験を活かし、不動産・金融系の分野を中心に記事執筆から編集まで行う。多数の企業メディアで編集を担当するほか、ライター向けオンラインサロンの添削講師としても活動している。

 

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※本連載は、J Sync株式会社が運営する『OWNERS.COM』(https://cf-owners.com/)のコラムを転載したものです。

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