(※写真はイメージです/PIXTA)

職業後見人を主流に据えて以来、家族中心主義とは真反対の、“家族を排除する力”がますます強くなってきた成年後見制度。そんな制度に取り込まれてしまう最大の要因は「老後に預金が凍結されてどうにもならなくなってしまった」から。「自分は大丈夫」…多くの人がそう思っていることだろう。行政書士であり静岡県家族信託協会代表を務める石川秀樹氏が、人生100年時代の認知症リスクについて解説いただく。

先ほど言った大きなお金、定期預金、生命保険、株や投資信託は、あなたに意思能力がなくなると金融機関に凍結されて“使えないお金”になってしまいます。預貯金は、同居する家族が交渉しても解約、引き出しができません。

 

でも大丈夫、そんな時に備えて介護保険制度を用意したし、成年後見制度も作りました、と国はいうかもしれません。


ですが実は、「成年後見」は「とても使いにくい制度」です。ふつうの家族がこれを使ったらもう大変。ほぞを噛むことになります。

準備として妥当なのは、家族信託

代わりに私は、「家族信託」という新しい財産管理法を推しています。認知症や高齢期のマネー対策として使えます。この連載はそんな「家族信託」を知ってもらうために書きましたが、<人生第4、第5コーナーのためのマネー学>としても活用してほしいと願っています。

 

なぜなら、私が想定していた以上に、「お金が凍結されて困った!」問題が大きくなっているからです。困った挙句、成年後見申し立てをする人が増えてきました。悪循環です。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

法律にかかわる人間として、この制度の意義は承知しています。人生100年時代だからこそ、うまく活かしたいとも思います。

 

しかしジャーナリストの私は、この制度はふつうの家族を傷つける。大げさで、高飛車で、人間の気持ちがわかっていない者たちが「理屈」だけで運用を始めてしまった制度ではないか、と感じています。

 

成年後見人候補としての「家族」を隅に追いやり、司法書士、弁護士等の士業後見人を7割以上も使うようになった今、その傾向はますます強まっていくでしょう。

 

この窮状を救わなければなりません。お金のことでふつうの家族を成年後見制度に追いむことは、この制度の本旨ではありません。しかし現実には「必要なお金なのに本人も家族も引き出せなくなっている」ために、ふつうの人々がこの成年後見制度に駆け込まざるを得なくなっているのです。

 

 

石川 秀樹

静岡県家族信託協会 行政書士

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